豊臣時代、巨椋(おぐら)池の漁業集落として栄えた久御山町東一口(ひがしいもあらい)。干拓事業が終了して70年以上たった今、この地域の歴史を伝えていこうと、「東一口ふるさとを学ぶ会」が発足。8月11日(日)に行うイベントの準備に取り組むメンバーを訪ねました。
石垣の上に住居や蔵が建てられた独特の町並みが現存している東一口地区。水害を防ぐことを目的とした住居の造りを見ていると、池に囲まれていた当時の暮らしが想像できます。この集落の中で、ひときわ目を引くのが、かつて巨椋池漁業の代表を務めていた山田本家のどっしりとした長屋門です。
「東一口ふるさとを学ぶ会」の代表・山田武司さんに案内してもらい、家の中を見学することに。門をくぐると、江戸時代後期に建てられたという母屋の前に、自然石が使われた趣のある庭園が広がっています。
「この庭からは比叡山や伏見城がはっきりと眺められます。巨椋池も含め、借景となるように設計されていたのでしょう」と山田さん。
東一口の歴史を語るうえで、この山田本家は欠かせないと考えた同会は、月に1回程度、ボランティアで庭園の清掃活動を行っています。
「国の登録有形文化財に指定されている山田家住宅は、巨椋池があった当時を象徴する建物。後世へ引き継いでいきたいですね」(山田さん)
かつて巨椋池には多品種のハスが分布していたことから、同会ではハスをテーマにしたイベントを企画。山田家住宅を会場に、久御山町と共催で8月11日(日)に講演会と生け花教室を開催します。
取材当日、生け花教室のリハーサルを行っていると聞いた記者。メンバーの内田裕夫(ひろお)さん・洋子(ひろこ)さん夫婦が趣味でハスを栽培している場所を訪ねました。そこには多くのメンバーが集まっていて、ちょうど竹を約35cmの同じ長さに切りそろえているところ。これは何に使うのでしょうか?
「ハスを生ける花器なんです」と洋子さん。「ハスの花が咲くのは4日間だけ。花が徐々に開いていく表情は、観察していて飽きません」と裕夫さん。
イベント当日は普段は公開されていない山田家住宅の開放もされており、見学のみなら事前予約なしで来場OK。
「巨椋池のことを知らなかったという人にもぜひ来てもらいたい」と山田さん。この機会に、東一口の町並みを楽しんでみては。
●ハスの生け花教室
●講演「巨椋池のハス」
●山田家住宅一般開放