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向日市の街中にトリックアートが出現
エッ、アーケードの通路に穴があいて、竹が生えてる!?

「KARA━1グランプリ」でも有名な向日市に、先月末、 新名所が誕生しました。「トリックアートをきっかけに、向日市の文化や魅力を知ってほしい」という取り組みを、“体感”してきましたよ。

▲商店街のアーケードが“発掘”の現場に!?
◀アーケードの床に、竹がニョキニョキと伸びてきて…
▲見る場所や角度によって、竹の長さが伸びることも
穴に落ちないように渡した板の上に乗っている…わけではありません(写真は作者の細井尚登さん)
野村龍酒店に飾られる
絵の完成イメージ

角度や高さで見え方が異なります!

「穴が開いてるみたい」

アーケード内の通路を指差しながら驚いている小学生の姉妹の後ろで、母親は「何?」と不思議そう。

ここは、阪急「東向日」駅そばにある「ライフシティ東向日」のアーケード内。姉妹の目には、通路が陥没し、むき出しになった地肌や水たまりの絵が見えていました。子どもたちにうながされて視線を落とすと、ようやく母親も「あっ! 本当。全然気づかなかったわ」。そう、これがトリックアートなのです。

トリックアートとは、人間の目の錯覚を利用し、見る角度や高さによって違う印象を与えたり、立体的に見せたりする芸術作品。ライフシティ東向日には2つの作品が“展示”されています。

取材に訪れたのは、“完成のお披露目”となる3月23日の数日前。制作者の細井尚登さんが、入念に仕上がりをチェックしているところでした。「商店街の空間、しかも床面のタイルに描くのは初めての経験です」

作品のイメージテーマは、向日市にゆかりのある“竹”と“発掘”。2カ月以上かけてアイデアを練って描いた下絵をもとに、8日間にわたって京都市内の工房から通い詰めで描いたのが左上の2つの作品です。

「描いている最中に、通りかかった人が話しかけてきてくれるのは楽しかったですね。作品の見方を説明したり、感想を聞かせてもらったり。このトリックアートが、芸術に触れるきっかけになればうれしいです」



激辛からアートへ町おこしが進化

「スゴクいい出来上がりで、感動して震え上がりました」と事務長の磯野勝さん

このトリックアートは、昨年10月に発足した任意団体「向日トリックアート商店街」の取り組みのひとつ。向日市内の商店街関係者など15人が賛同する同団体では、「トリックアートで町おこし」を目指しています。事務長を務めるのは、京都向日市激辛商店街の事務長でもある磯野勝さん。

「向日市の町おこしを目標に、“激辛”をやっていてたどり着いたのが、トリックアートです」と磯野さん。

激辛グルメを食べに来た人に、「観光する所はないですか?」と聞かれても、紹介できる場所はとぼしい─。そこで、「向日市全体を商店街と考えて、その商店街のあちこちに描いたトリックアートを巡ってもらえば楽しいはず」と。
「トリックアートは参加型のアート。写真で撮影すると、より楽しめます。写真を、ブログやフェイスブックなどに掲載してもらえば、向日市の地名もおのずと全国に広まることに。激辛とトリックアートの相乗効果を期待しています」

前述の2作品に続き、交差点「五辻」東側にある野村龍酒店の前にも、ワインたるが並んだように見える作品がお目見えしています(写真上)。

「今後はもっと作品を増やして、その場所をマップ化。テーマパークを回るように、向日市を巡ってもらえるようにしていきたい」とのこと。

芸術のトリックを楽しみながら、町おこしにも参加できるなんて、おもしろそうですね。

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