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東山に広がれ! ヒョウタンの輪

豊国神社や高台寺など、豊臣秀吉にちなんだ名所のある京都市東山区。そんな同区で、秀吉のシンボルとされるヒョウタンを、区民を巻き込みながら街じゅうに植えようという取り組みが始まっています。

この取り組みの名前は「東山瓢箪(ひょうたん)プロジェクト」。東山区役所で2012年から行われている市民主体のまちづくり活動の場「まちづくりカフェ@東山」から誕生しました。

そこでは、アートや街歩き、商店街や空き家の活性化、子育て、婚活、文学など、さまざまな分野に関心を持つ人たちが集まり、複数のチームに分かれて活動しています。その中で、東山の観光振興や景観保全に関心のあるメンバーが「京都らしい街並みを残したい」「豊臣秀吉ゆかりの地として東山の知名度を高めたい」といった思いから、ヒョウタンを街に植えることを考え出したそう(※注)。

※注:「秀吉=ヒョウタン」というのは、秀吉の馬印(戦場で、武将が敵味方の識別などを示すために用いた目印)にヒョウタンが用いられたことに由来しています

ヒョウタンの種まきに適した時期は4月。うまく育てば7月ごろに開花、8月ごろには実がなるとか。この夏、東山区の家々でこんなかわいい姿がたくさん見られるかも!(写真提供/東山瓢箪プロジェクト)
ヒョウタンの苗を手にしたメンバー。「今から成長が楽しみ。『瓢箪から駒』じゃないけれど、ヒョウタンが予想以上に東山を盛り上げてくれますように(笑)」と安藤時子さん(右から2番目)

いずれは食用ヒョウタンの栽培も

しかし、ヒョウタンを自分たちで街なかに植えるのではなく、メンバーはもう一工夫、仕掛けを考えました。

「この数年で、夏の室温上昇対策として、ゴーヤなどの植物を窓の外で育てる『緑のカーテン』が定着していますよね?

そこで〝東山区の家庭やお店などで、緑のカーテンをヒョウタンで作ってもらえば、街の景観に和のたたずまいが生まれるのでは〟と考えたんです」と、同プロジェクトの坂田幸雅さん。

確かに、街のあちこちの窓辺や軒先にヒョウタンの実が揺れている姿は、想像するだけで涼しげ! おまけに環境にも優しいとくれば、一石二鳥です。

坂田さんたちは、自宅でヒョウタンを植えてくれる人たちをホームページや市民新聞の東山区版で募り、3月23日に東山区役所で種の無料配布を実施。当日は、地域の園芸好きな人たちが、次々と種を受け取っていました。

「去年まではゴーヤで『緑のカーテン』を作っていたけれど、ゴーヤが実りすぎて、食べるのが大変で(笑)。今年はヒョウタンの鑑賞を楽しむわ」と話してくれた女性もいましたよ。

この日訪れた人たちをはじめ、現在、ヒョウタンの種は東山区在住または勤務中の希望者を対象に、この活動に賛同した地域のお店で配布中だそう(なくなり次第終了、詳細は後述のホームページにて)。街にヒョウタンの輪が広がるといいですね。

ちなみに、今年配布したヒョウタンは食用ではありませんが、いずれは、実を野菜として料理できる食用ヒョウタンの栽培にも挑戦したいとのこと。

「地元の名産品の開発など、また違った切り口で地域を盛り上げられれば。上京区や伏見区など、秀吉ゆかりの地域にも、ゆくゆくはヒョウタンのある風景が広がっていけばいいなと思います」とメンバー。

詳細は、ホームページ(http://higashiyama-hyoutan.com/)でも見ることができます。

育て方を記した用紙とともに、希望者に配られたヒョウタンの種
種を受け取った人たちの多くは「ヒョウタンを育てるのは初めて」「頑張って育てますね」とうれしそう

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