鴨川を渡って東へ西へ。日々行き来している橋ですが、なかには京都の近代化を支えた歴史を持つ橋があるって知っていますか? それが1913年(大正2年)に誕生した七条大橋。明治期のデザインを残す貴重な建造物です。この橋の竣工100周年を祝い、当時の姿をできるだけ復活させようという会が、発足します。
「鴨川を百年見つめる七条大橋とあゆむ会」(設立準備会)のミーティングが行われたのは、七条大橋からほど近い酒店「集酉楽(しゅうゆうらく)サカタニ」。
同店相談役の酒谷義郎さんが、七条大橋が今年竣工100周年にあたることに気づき、周囲の人に橋の歴史を広めて未来に引き継ごうと提案。この日は有志8人が集まり、七条大橋の開通式のちょうど100年目にあたる4月14日(日)に開催する「七条大橋百年記念イベント『百年目の橋渡り』」について話し合われました。
明治時代末期、京都の近代化をすすめた三大事業に伴って架け替えられた橋のひとつが七条大橋。ほかの橋はその後架け替えられて、当時の姿を現在に伝えるのは七条大橋だけになってしまったそう。
とはいえ、この100年で、施工当時の姿は失われています。鴨川の横に流れていた疏水部分が地下に埋められて橋が短くなったり、戦時中には、金属供出のために手すりや照明柱が撤去され、戦後に違うデザインのものに付け替えられたり、橋の表面が汚れてきたり…。「私が子どものときは、色も今とは違い、落ち着いた感じの橋でしたよ」と酒谷さん。
そこで、「鴨川を百年見つめる七条大橋とあゆむ会」を作り、できるだけ元の姿に戻す取り組みや、国の「登録有形文化財」登録への働きかけについて話し合う場にしたいと考えました。
その第一歩が4月14日のイベントなのです。「集酉楽サカタニ」の2階ホールでスライドショー、その後、七条大橋へと移動し、“橋渡り”を行います。この橋渡りは、100年前の七条大橋の開通式で数千人の市民が渡り初めをしたことにちなんだものなのだとか。当時の市民のワクワクとした気持ちなどを感じることができそうですね。
「七条大橋は、当時の土木技術の粋を集めたばかりではなく、京都の景観づくりに対する気概を感じる秀逸なデザイン。京都の都市近代化の“生き証人”でもあります。そんな価値を知ってもらって、街のにぎわいにつながれば」と、同会に参加しているNPO法人・京都景観フォーラムの中村伸之さん。
京都女子大学図書館司書課程専任講師の桂まに子さんは、「学生たちも毎日のように通っている橋。若い世代にも関心を持ってほしい」と話していました。
イベントは、一緒に活動したいという人、七条大橋に興味がある人、街歩きに参加したい人など、誰でも参加可能。申し込みは不要なので当日「集酉楽サカタニ」へ。同会では、大正時代の七条大橋の写真を募集中。14日に持参、もしくは、電話で連絡を。
問い合わせは集酉楽サカタニ=TEL.075(561)7974=へ。
七条大橋百周年記念イベント
「百年目の橋渡り」