「大人も子どもものびのび遊べて、自然の大切さを感じられる里山をつくりたい」。そんな思いのもと、自宅の裏山を仲間たちと整備している女性がいます。4月には、裏山に臨む庭でお祭りも開催される予定です。
その女性とは、山科区御陵山ノ谷に住む奥田智子さん。6年前、家族でこの地に引っ越してきたとき、自宅の敷地である裏山が荒れていることに気付いたと言います。
「私たちが来るまで、何十年か放置されていたそうです。間伐されないまま木が生い茂り、下草もはびこり、辺りは真っ暗。サル、イノシシ、シカなどによる獣害もひどいものでした」
これを何とかしたいと奥田さんは、以前から所属していたNPO法人「ビオトープネットワーク京都」と、3年前から裏山の整備に乗り出しました。裏山を「みささぎの森」と名付け、自然との触れ合いを楽しめる里山としてよみがえらせ、地域の人に開放したいと考えたのです。
現在は、その活動を「わくわくやましな みんなの里山づくり活動」と銘打ち、ビオトープネットワークのメンバーや、一般のボランティアとともに、月1回(毎月第2または第4日曜)、山の手入れなどを行っています。
記者が訪れたのは2月の活動日。午前中は、琵琶湖疏水近くに立つ本圀寺(ほんこくじ)へ。いつもここで自然をテーマにした勉強会が開かれているのです。
この日のお題は「ニホンミツバチ」。というのも、今年4月、メンバーは、里山でニホンミツバチを飼育したいと考えているからです。
講師は、京都産業大学総合生命科学部准教授の高橋純一さん。「ニホンミツバチから採れる蜜の量は、多くとも1年に2~5kg程度」「女王蜂は、一度に10匹前後のオスと交尾をします」などの話が披露されるたび、20人ほどの受講者から「へぇ~」「面白い!」と声が上がっていました。
そして昼食後は、奥田さんの自宅へ徒歩で移動し、ミツバチの巣箱づくりに挑戦です。
「ミツバチは4~5月にこれまでいた巣を集団で去り、新しい住みかを探しに行く習性があります。その集団が見つけてくれそうな場所に巣箱を置くと、ニホンミツバチが住みつく可能性が」と、もう一人の講師で、ニホンミツバチの飼育を行う藤本卓矢さん。その説明にうなずきつつ、みんなは巣箱を仕上げます。
完成後は、藤本さんに「ハチが来そうな場所」を見立ててもらいながら巣箱を設置。「春が待ち遠しいね」と、どの人も満足げでした。
みんなが巣箱づくりに取り組んでいた奥田家の庭からは、これまで整備を進めてきた「みささぎの森」が目の前に見えます。木々の間に青空が広がるこの森が、かつては真っ暗だったなんて、信じられない!
「活動が進むにつれ、明るくなってきたね。この過程がうれしい」「ここは地下鉄『御陵』駅から徒歩で来られます。そんな街なかに、さまざまな生き物が暮らす里山があるなんて魅力的でしょ?」とメンバー。
そんな“都会の里山”の魅力に触れられるイベントが4月7日(日)に開かれます。午前10時~午後4時開催の「みささぎの森屋台村 春のわくわくフェスタ」では、奥田さん宅の庭で太鼓の演奏やクラフト教室、お菓子や雑貨の販売などが行われますよ。
活動の詳細など、問い合わせは
奥田さん=TEL:090(7886)8091=まで。