松尾山の麓を流れる西芳寺川の上流には、数多くの古墳が点在しています。この史跡を地元の活性化に生かそうと、「西芳寺川古墳めぐり」の散策ルートの整備がスタート。活動に取り組む「松尾学区自治連合会」のみなさんを訪ねました。
松尾山の南斜面には、40基以上の古墳が現存しており、これらは総称して「西芳寺古墳群」と呼ばれています。
「身近に古墳があることは、地元の人にもあまり知られてないんですよ」。そう話すのは、松尾学区自治連合会の会長、荒木祐靖(すけのぶ)さん。
荒木さんは「地元の魅力を再発見してもらえる機会になれば」と、以前からあったものの、荒れていた散策ルートの整備を提案。昨年7月から準備を始め、来月からいよいよ本格的な整備がスタートします。高齢者も歩きやすいように間伐材などを使って階段を整備したり、草刈りや立て看板の設置も行うそうです。完成は26年度を目指しています。
取材当日、同会の荒木康俊さん、榊龍一さんにも案内してもらい、散策ルートを見学することに。まずは、西芳寺(苔寺)の沿道を松尾山中に向かって西へ向かいました。
「ここが、散策ルートの入り口です」と指さされたのが、竹林に抱かれるように横たわる大きな石!?
「地元では、“山の神さん”と呼ばれています。昔から山仕事の前後に、ここで無事を祈願したり、自然の恵みに感謝したり。散策ルートでも、守り神のような存在として親しんでもらえれば」(榊さん)
そこから西芳寺林道に進むと、スギなどの樹木から木漏れ日が差し、西芳寺川の水面にキラキラと反射。穏やかな浅瀬、激しい流れの渓谷など、次々に変わる表情も楽しめます。
「最近、このあたりはバーベキューをする人が多く、ゴミ対策に苦慮しています。整備をすすめることで、景観を守る意識を高めてもらうきっかけにもしたいですね」(荒木康俊さん)
「この上に古墳があります」
ルートに面した険しい山道を少し登ると、「ここが古墳です。あそこにも、あちらにも」。
指さされた方向をぐるりと見渡すと、斜面がこんもりと盛り上がり、側面にはぽっかり空洞が。
「これらは横穴式石室を持つ小円墳で、古墳時代後期に作られたもの。この付近には5カ所あり、総称して『ボウジョウ古墳』とも呼ばれています」
さらに林道を登ると、次々と古墳が現れ、古代にタイムスリップしたような不思議な気分に。
「散策ルートは片道約8キロ。頂上でも古墳が見られるほか、愛宕山などの景色も楽しめますよ」
「自然を楽しみながら、地域のルーツにも触れることができる。気軽なレジャーはもちろん、学びの場としても多くの人に来てほしいですね」
同会では、3月17日(日)に「西芳寺川古墳観察会」を実施。今、参加者や整備ボランティアを募集中です。散策だけの参加でもOKとのこと。午前9時からスタート。京都バス「苔寺」停前に集合。自由参加、参加無料。
問い合わせは、荒木祐靖さん=TEL:075(381)7411=まで。