五条通の2本北を、東西に走る松原通。この松原通を中心とした、地域の魅力をもっと発信しようと昨年発足した「松原通界隈(かいわい)活性化活動プロジェクト委員会」。堀川通から松原橋までの松原通にある7学区から1人ずつが参加し、月1~2回集まって活動をしています。
「豊臣秀吉が現在の場所に五条大橋をかけるまで、この松原通が五条大路だったんです。都にとっても大切な通りの一つで、名所・旧跡が多く残っています」と教えてくれたのは、この委員会の発起人の一人である山田正太郎さん。
取材場所にと山田さんと待ち合わせたのは、松原麩屋町角にある「明王院不動寺」。691年に開かれ、弘法大師が作ったとされる「石仏不動明王」(石不動)が安置してあるお寺です。
「今は交通事情によりできなくなってしまいましたが、私が子どものころは、月に3回、このお寺の辺りにたこ焼きや団子の夜店が出たりして、とても活気があったのを覚えています。この通りの周辺にはほかにも、手作り市が毎月行われている因幡薬師堂など、歴史ある寺社がたくさんありますから、もっとみなさんにこの街を歩いてほしいと思っています」
来年2月には、参加者を募って松原通を歩くイベントを開く予定なのだとか。
一方通行でそれほど広くはありませんが、昭和31年(1956年)までは祇園祭の山鉾(やまほこ)巡行のルートだったという松原通。近年、違う形で祇園祭にかかわり始めているのだそう。
「巡行の前夜、各山鉾が四条通にある御旅所へと往復する『日和神楽(ひよりかぐら)』が行われています。数年前からは、四条通の混雑を避ける目的もあって、帰りに函谷鉾や船鉾、岩戸山が松原通を通るようになったんです。夜11時ごろと遅い時間ですが、大勢の人が見物に出てきてくれました。来年は一つでも多くの山鉾に通ってもらえるように、委員会でも働きかけをしていくつもりです」と山田さん。
12月8日(土)には、同委員会発足を記念して、松原通のことを深く知ってもらうための講演会を開催したりと、地域愛はますます盛り上がっています。
この委員会が目指す松原通の将来像を山田さんに尋ねると−。
「私たちが子どものころのようなにぎわいを取り戻したいと思っています。このかいわいには、扇子、漆器、染物、仏具などの店が昔から多く、職人がたくさんいます。歴史や伝統工芸を見ながら松原通を楽しめる、そんな街にしていきたいですね」との答えが。地域の特色を生かした、個性的な通りが京都にまたひとつ増えそうです。
日 時 | 12月8日(土)午後1時~3時(講演は1時30分~) |
場 所 | 洛央小学校ラフォーレ洛央(仏光寺通東洞院東入ル) |
講 演 | 「平安京の諸相~五条界隈を中心に~」 |
講 師 | 朧谷寿(おぼろやひさし)さん(同志社女子大学名誉教授) |
定 員 | 300人 |
費 用 | 300円(資料代) |
申込方法 | 11月30日(金)必着で、往復はがきに 住所・氏名・年齢・電話番号を記入して下記へ申し込みを |
あて先 | 〒600-8104 下京区万寿寺町143 山田正太郎さん |