小さな布を縫い合わせて1枚の大きな布を作り上げるパッチワーク。長岡京市柴の里の住民たちが、昨年9月から地区の町並みをパッチワークで再現しようと制作をスタート。1年がかりでタペストリーを完成させました。9月30日、柴の里自治会館で行われたセレモニーで、作品がお披露目されましたよ。
「せ~の、オープン」。
掛け声とともにタペストリーを覆っていた布が外された瞬間、会場に集まっていた人々から一斉に「オォー、すごい!」と歓声が上がりました。
約400軒の住宅をパッチワークで表現した縦2m40cm、横2m50cmのタペストリーは迫力の出来栄え。
近づいて見てみると、柴の里自治会館や郵便局をはじめ、公園、阪急電車の高架橋、道路を走るトラックや乗用車、歩行者まで細やかに再現されています。
「上のほうは愛宕山。春には桜が咲くので、桜の花びらもアレンジしました」と説明してくれたのは、発起人の山名上枝(ほつえ)さん。タペストリー作りのきっかけを尋ねました。
「2013年に自治会結成45周年を迎えるので、記念に残るものを制作したかったんです。町並みが整っている柴の里地区の住宅地図を見て、パッチワークで作ってみたいと思いました」
回覧板を通じてメンバーを募集すると、男性1人、女性18人が集まりました。
「布は各自で持ち寄って、一軒一軒を8cm四方のパッチワークで制作し、つなげています。子どもの服のハギレを利用するなど、懐かしい思い出も織り込んでいるんですよ」
当初は2年がかりで進める予定でしたが、今年が市政40周年を迎えることを知り、急きょ、1年前倒しで仕上げることに。それまでは月1回集まっていた作業を週1~2回に増やし、針で指を突いたり、指先が硬くなったりしながらも、メンバーと力を合わせて作業し、9月初めに出来上がったそう。
10月21日(日)まで開催中の「市民文化まつり」(主催/長岡京市文化協会)にも出展されています。
今後は、多くの住民たちの目に触れるようにと、自治会館に展示されるこのタペストリー。
「地元の人に見てもらい、自分の家を探してほしいですね。それから、独立してこの街を出た子どもたちにも見てほしい。柴の里への愛着が深まるような、シンボルになってくれたらうれしいです」と山名さん。
タペストリー作りを通じて、メンバーとの絆が深まり、「布遊び 柴桜の会」というグループも結成。これからも地域のために貢献していきたいと考えているのだそう。