“大学ミュージアム”を知っていますか。設立の理念に沿った作品や、教育・研究の資料として保有している文化財を収蔵する大学の博物館や資料館といった展示施設です。そんな京都市内の大学ミュージアムによる合同展覧会「大学は宝箱!―京の大学ミュージアム収蔵品展―」が11月25日(日)まで開催されています。その文化財の数々を見て来ました。
会場の京都大学総合博物館で記者を待っていたのは、京都工芸繊維大学の教授で同大学美術工芸資料館の館長でもある並木誠士さん。昨年結成された「京都・大学ミュージアム連携」の実行委員会委員長でもあります。
「大学ミュージアムはそれぞれで独自の展覧会を開催していますが、その活動をもっと広く知ってもらおうと、京都市内14大学、15ミュージアムが参加して、『京都・大学ミュージアム連携』がスタートしました。その初めての合同展です。ただ一緒に文化財を展示するだけではなく、いくつかのテーマを設定して、それに合う作品を選んでもらいました」
2階の展示室に入ると、ガラスの向こうに大小さまざまな作品が並んでいます。
最初のテーマは「京都の姿」。ひとつずつ案内してもらうと…。19世紀に京都で使われていたお札、江戸時代に描かれた絵図、昭和の初めに行われた「大礼記念京都大博覧会」のポスターに絵はがきと、とても多彩。もちろん、異なる大学の所蔵品です。
「テーマは同じでも、いろいろな角度から京都の姿が浮かび上がってくるでしょう。これがこの合同展の面白いところです」と並木さんが魅力を語ってくれました。
続いては「祈る」のコーナーへ。こちらには、古いものでは1~2世紀にパキスタンで制作された仏教美術や、現代エジプトで使われている「木製コーラン用書見台」など、時代も国もさまざま。さらに進むと、水墨画の掛け軸の前には、祭りに使うカラフルなお面が置いてあります。
用途や趣の違う作品ですが、いつでもどこでも、人間の営みの中に祈りが存在することが伝わってきます。
「宗教的な祈りから、祭りなどの民間信仰、家族の無事や平和を願ったりと、祈りといっても多種多様。それを感じてもらえると思います」(並木さん)
「記す」「創る」「暮らし」といった日常生活に関するテーマのほか、2週間ごとに、各ミュージアムいちおしの作品を展示する「大学の宝物」のコーナーもありますよ。
すべてを見てまわると1時間ほど。バラエティーに富んだ内容とこれほどの貴重な文化財が大学ミュージアムにあったということに、驚かされました。個性の違う大学ミュージアムの作品が隣り合うことで、新たな気づきに出合える“宝箱”。みなさんものぞいてみませんか?
問い合わせは、京都・大学ミュージアム連携実行委員会事務局(京都工芸繊維大学美術工芸資料館内)=TEL:075(724)7924=へ。
期間
11月25日(日)まで ※月・火休館
午前9時30分~午後4時30分(入館は4時まで)
会場
京都大学総合博物館(左京区吉田本町/市バス「百万遍」停より徒歩2分)
入場料
一般400円、高校生300円、中・小学生200円、大学生・院生無料
※毎週土曜に、学生による展示解説を実施