ホーム > > 特集:社会・生活 > まちに漂う香りは桜餅? いいえ、フジバカマが満開です

「深草W-ing 藤袴 香りプロジェクト」始動中
まちに漂う香りは桜餅? いいえ、フジバカマが満開です

平安時代の歌人も歌に詠んだ花、フジバカマが復活の兆し!? 京都府レッドデータブックの準絶滅危惧種に指定されているこの花を伏見・深草地域に広めようという活動が始まっています。育てたフジバカマを町のあちこちに届けると聞き、取材してきました。

アサギマダラがやって来るためには、フジバカマをたくさん並べたほうがよいのだとか。8鉢分を受け取るベーカリーショップ「coco・kirari」オーナー内田雅彦さん(左)と「深草W─ing」のメンバー河合紀子さん

かれんで細かい花が咲くフジバカマ

この日集まったグループのメンバー。後列左から3番目が代表の杉井正治さん

茎が根元から2本に分かれているフジバカマ。くるっと逆さまにした、はかまのようにも見えます。高さは約150cmまで成長し、まるで桜餅のような香りがする淡い紫色をした花が咲くのが特徴です。

地元をこのフジバカマでいっぱいにしようと活動しているのが、今年4月に発足した深草地域の住民グループ「深草W-ing(ウィング)」。現在の会員数は20人で、同グループの代表は、竹林の保全活動を行うNPO法人「竹と緑」の理事長も務める杉井正治さん。

杉井さんは、フジバカマの原種を4年前に手に入れたことがきっかけで、試行錯誤しながら栽培を始めました。独特の香りに魅せられたことと、準絶滅危惧種を救いたいという思いから、深草のシンボル花として浸透させたいと考えるようになったそう。フジバカマを通して身近な自然を大切にすることで、地域への愛着を感じてもらいたいと思っています。

記者が取材に訪れたのは9月下旬のこと。今年の4月に挿し芽をし、5月に鉢に定植、その後は竹で作った添え木や肥料を入れ、毎朝晩水やりをして育てたという200鉢のフジバカマは、高さ120~130cmにまで育ち、つぼみをたくさんつけていました。

その鉢が置かれている傍らの畑には、昨年育てたというフジバカマが植えられています。こちらは開花が少し早く、8分咲きといったところ。花が咲いたフジバカマには、ハチやカナブン、チョウなどの昆虫がひっきりなしにやってきます。

「昆虫にとってもいい香りがするんですか」と尋ねると、満開になる10月中旬には、その香りにつられて、渡りチョウのアサギマダラもやってくることを教えてもらいました。

身近な自然について考えるきっかけになれば

「深草W-ing」が育てたフジバカマは、地域の自治会や学校、商店、神社、老人ホームなどに1鉢300円の協力金を得て貸し出し中。花が咲き終えたら鉢を回収します。

同グループの活動に賛同している深草商店街でベーカリーショップを営む内田雅彦さんは、「商店街全体にずらりと並ぶくらい、フジバカマが地域の花として広まってほしいです。地域での連帯感も深まるので、来年もぜひ参加したいです」と話してくれました。

10月末まではフジバカマが並び、“いい香り”に包まれている深草に出かけてみませんか。

10月13日(土)に藤森神社境内で行われる「第22回 深草ふれあいプラザ」では、フジバカマが約30鉢並ぶほか、フジバカマの香り袋(300円)も販売する予定だそうです。

※この事業は「伏見区区民活動支援事業」の補助金を受けています

このページのトップへ