9月1日は「防災の日」。8月に起こった宇治市の豪雨水害も記憶に新しい今、あらためて防災について考えてみませんか。京都市市民防災センターの事業課長・南部雄二さんに話を聞きました。
いつ起きても不思議ではない地震は、予測ができないだけに普段からの心構えが特に大切ですね。
「突然地震が起きたときはパニックになりがちですが、まずは身の安全を確保することが第一です」と南部さん。
「大きな揺れは1~2分でおさまることが多いので、その間はあわてずにじっとしておいてください。その際、テーブルの下に入ったり、転倒しそうな家具からは離れておきましょう」
揺れがおさまったら、次にするのは火の始末。そして、逃げ道の確保です。
「地震で建物が傾いたりすると、玄関などの出入り口のドアが開かなくなる可能性があるため、ドアは開放しておきます」
まずは、この3点を覚えておきたいですね。
そして、普段から気をつけておくことは―。
「家具の転倒防止です。特に寝室に注意を。寝ているときは無防備なので、家具が倒れてきたときに逃げられません。寝室には家具を置かない、もしくは家具から離れて寝るのがいいでしょう」
家具を固定する器具を利用する際は、壁や天井の強度の高い場所を選ぶのもポイントです。
「日常生活では、使い勝手の良さや快適さを優先させて家具を配置したりしがち。でも、多少生活に不便があっても、安全面にも注意を払ってほしいですね。不便さも、慣れると当たり前になるものですよ(笑)」
地震とは異なり、気象情報をチェックするなどで、地震に比べて心構えがしやすいのが風水害です。
「最近多いのが“都市型水災”。これは、都市構造により起こる水害です。この場合、危険性が高いのが地下。地下街だけではなく、住居の地下フロアにいるときは、地上に向かうようにしてください」
また、見落としがちなのが“水圧”。出入り口ドアの外側で浸水している場合、水圧でドアが開かないこともあるのだとか。
「複数の避難路を確認しておいたり、逃げることだけではなく、2階に移動するなど、その場でできる対応策を考えることも必要になるかもしれません」
万が一、浸水時に避難をしなければならない場合は、目で見えない水面下の状況を確認できるように長い棒などをつえ代わりにして歩きましょう。また、足元は運動靴などのひも靴がおすすめとのこと。長靴は、中に水が入ってくることもあるのでNGです。
非常持ち出し袋
「薬を服用している人なら、薬そのものか薬の名前が分かるものを入れておきましょう。普段飲んでいるのがなんという薬なのか分からないということも多いんですよ」
地域の協力
「隣近所にどんな人が住んでいるか知っていると、『避難場所にお隣さんが来ていない』などが分かり、探しに行くこともできます。また、いざというときに、助け・助けられということもスムーズ。こういった“つながり”が災害時は非常に大切になってくるんですよ」
防災マップ
「京都市では、行政区別に地震編・水災害編という2つの防災マップを作成、各家庭に配布しています。水災害編では、大雨による河川の氾濫を想定した浸水区域や深さを示し、水災害からの避難についてまとめられています。これをチェックしておき、自分が住んでいるエリアの特性を把握しておきましょう」 ※ホームページでもチェック可能。「京都市防災危機管理情報館」で検索を
京都市市民防災センター
「当センターでは、災害時に不可欠な防災知識や行動を『見る』『聴く』『触れる』『感じる』ことで学んでいただくことができます。家族でさまざまな体験をしながら、防災の意識を高めてください」
京都市南区西九条菅田町7番地(国道1号線十条上ル東側) 、TEL:075(662)1849