京都市伏見区、宇治市、久御山町にまたがる巨椋池干拓地。この“巨椋”の地に秘められた魅力を発見・発信しようと、6月に立ち上がったのが「巨椋案内人倶楽部」。ある1日、その活動に参加してみました。
巨椋案内人倶楽部の活動に同行したのは、7月末のこと。場所は宇治川の堤防でした。10人ほどの参加者が見守るのは、堤防下に広がるヨシ原。
白々と夜が明けはじめた午前4時30分ごろ、そのヨシ原から「チュピ、チュピピピ…」と鳥の鳴き声が徐々に大きく聞こえ出したかと思うと、突然、何十何百という小さな黒いものがヨシ原から飛び立っていきました。
ツバメです!
ツバメの営巣地である宇治川畔のヨシ原は、日没ごろの“ツバメのねぐら入り”が有名。
「ねぐらに入るなら、出るはずですよね。その“ねぐら立ち”を見ようと思って、今回の企画を考えました」と倶楽部の世話役を務める福本節子さん。記者に説明をしながらも、「あ、ほら、また飛び立った!すごいですね~」と興奮を隠せません。
「巨椋の特徴は、まず、田んぼがあること。農業が営まれることで、環境が維持されています」と話す福本さん。福本さんは、巨椋池干拓地環境保全ワークショップ、田んぼ探検隊の調査にもかかわっている、“大の巨椋ファン”なのです。
そんな福本さんをはじめ、地元の人、農業関係者、野鳥の専門家など、さまざまなメンバーで構成されているのがこの倶楽部。現在の会員数は16人です。
会の当面の目標は、訪ね歩いた成果を「巨椋版グリーンマップ」(制作支援・NPO法人グリーンマップジャパン)に仕上げること。グリーンマップとは、地域の住民が調査して作る環境マップで、すでに世界55カ国700以上の都市が参加する、国際的な取り組みです。今回の“ツバメのねぐら立ち”の情報も、世界中の人が見る環境マップに記録される予定です。
ツバメの観察を終えた後は、交流会。
「会の設立前後に行った田んぼの調査では、小さいナマズとドジョウが1匹ずつ見つかりました。同じく水田に生息するホウネンエビが思いのほか少なかったですね。でも、カイエビやカエルはたくさんいたんですよ」といった、これまでの活動についての発表もありました。このような農業、自然、文化、環境の魅力を発見する楽しさが、会の活動の原動力になっているんですね。
巨椋案内人倶楽部の活動は2カ月に1回程度。
次回は、9月16日(日)午後6時ごろから、新月のお月見会を開催予定。
参加の申し込み、詳細については福本節子さん=080(5635)6166=へ。