“宝の地図”と聞くと思い浮かべるのは、金銀財宝の隠し場所を印した古地図? いえいえ、宝の地図はそれだけではありません。山科図書館には、約2メートル40センチ四方の地図「山科区のたからもの」が出現しているんですよ。
建物の4階まで上がると…、ありました。「山科区のたからもの」。
赤い大きな丸でお寺や神社、赤い小さな丸でお地蔵さん、そして緑の大きな丸で公園、黄の大きな丸で医療機関といった具合に数え切れないくらいの印がつけられています。川や通りだけではなく、13の小学校区の境界線も表記。あまりにも詳細な作り込みように、思わず見入ってしまいました。
この地図を作ったのは、2007年に結成された「ふるさとの良さを活かしたまちづくりを進める会」のメンバー。事務局長の浅井定雄さんは、「この地図では、2000カ所以上の“たからもの”を紹介しています。歴史的に重要な場所、今の生活に必要な病院や学校など、過去から現在までの山科のええところや大事な場所を“たからもの”として集めているんです」。
さて、どうやって集めたのかというと―。
「足で稼ぎましたよ(笑)。もともとは、会の活動の一環として、地域のお地蔵さんのことを調べてまわっていたんです」と話すのは野原孝喜さん。その成果を、2年ほど前から学区ごとにパネルにまとめ、区の催しなどで発表していました。
そして昨年9月、せっかくだからと13学区の資料をひとつの地図にまとめて、この巨大な地図「山科区のたからもの」が完成、10月に山科区民フォーラムで初めてお披露目されました。
その会場でこの地図に“一目ぼれ”をしたのが、山科図書館館長の宮﨑裕子さん。そして、会と交渉の結果、図書館に寄贈されることになったのです。宮﨑さんは、「今年、図書館開設60周年を迎え、すばらしい“たからもの”をいただきました」と大感激です。
地図を見た来館者からは、「引っ越してきたばかりなので、山科のことを詳しく知ることができて良かった」「普段生活する中で、もっと目を配ってたからものを発見していきたい」といった声が寄せられています。
「名所も旧跡も、木も学校も、もちろんお地蔵さんも、みなさんに大事にしてほしい。これが、山科区民のネットワークを広げるきっかけになればうれしいですね」と浅井さん。みなさんも、家のそばにあるたからもの、探してみませんか。
※「山科区のたからもの」は、7月31日(火)まで山科図書館で展示