4月25日から、右京区の嵐電「常盤」駅のホームに詰め将棋の問題が書かれたユニークな看板が登場していることを知っていますか? いったいだれが、何のために作ったのでしょう。今回はその謎に迫ります。
将棋盤をはさんで、お姫さまと猫が腕比べ。将棋盤には、詰め将棋の問題が書かれています。こんなイラストが目を引く看板が、常盤駅の北野白梅町方面行きホームに設置されています。
「これは、『太秦 和わWaのワ』というサークルの方々が作られたものなんですよ」と京福電気鉄道事業企画部の細川潤子さん。
細川さんによると、嵐電は数年前から地域住民やNPOなどとの協働で駅の緑化に着手してきたそう。その間に活動の輪が広がり、今年から「太秦 和わWaのワ」が常盤駅の清掃や花壇の世話を始めたと言います。
そしてこの4月、詰め将棋を通して交流を深められる楽しい駅にするため、同サークルがこの看板設置を提案しました。
「太秦 和わWaのワ」のメンバーに会い、話を聞きました。早速ですが、なぜ詰め将棋なんでしょう?
「実は、太秦は将棋が盛んな場所。嵯峨野高校や北嵯峨高校の将棋部は活動熱心ですし、『和わWaのワ』でたびたび行っている将棋の催しには幅広い年代の人が集まります。この看板も、電車を待っている間に見知らぬ人同士が交流するきっかけになってほしいんです」とは、東映撮影所での衣装の仕事や着付け教室、子ども向け将棋教室で活躍する吉見京美さん。
吉見さんの教え子で、詰め将棋の問題を作った四条中学校3年生の渡辺和音くんは、「初心者にも楽しめるように、易しめのものを作りました」とコメント。詰め将棋の問題は1カ月ごとに更新される予定で、問題の作成は、今後さまざまな人が行います。
そして、お姫さまと猫の絵にも意味が込められていると吉見さん。
「お姫さまは、大河ドラマ『平清盛』にも出てくる常盤御前がモデル。常盤駅から徒歩数分の源光寺にお墓があるんですよ。そして『くノ一姫ちゃん』と名づけられたこの猫は、私が飼っている猫の『姫ちゃん』がモデル。『くノ一』と付けたのは、忍者イベントを行っている東映太秦映画村からの連想です」
つまり、地域にちなんだモチーフを入れ込んだ看板というわけ。
「昨年、太秦映画村新ゲートから常盤駅までの道ができ、常盤にも足を延ばす観光客が増えてきました。そうした人たちに足を止めてもらって、町を元気にする仕掛けをこれからも作っていきたいです」(吉見さん)
1枚の看板には、アツ~イ地元愛が込められているのです。