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授産製品を集めたカタログ「そっとほっと」完成
手作りの温かみあるお菓子や日用品がいっぱい

先月、NPO法人「まちづくりねっと・うじ」が、宇治市内の授産施設の商品を紹介するカタログを作成しました。各商品が大きな写真とコメントで掲載された見ごたえあるもの。このカタログが作られた目的とは…?

パンが人気の「ワークセンター宇治作業所」の紹介ページ。こちらでは西陣織のハギレを使ったテーブルセンターやブックカバーも扱っています

「どうほうの家」ではお米や漬物も扱います

そもそも「まちづくりねっと・うじ」は、「ICT(情報通信技術)の環境整備」などを目的とした団体。それがなぜこのカタログを作ることになったのでしょうか。

「私たち2人とも、以前から福祉のボランティアをしていたんです」というのは、代表理事の上村正文さんと理事・特別顧問の安江徹さん。「だからNPOの活動をしながらもずっと、障害のある方の役に立ちたいという思いがありました」(安江さん)

上村さんは「障害のある方々が施設で一日中働いても、1カ月あたりの賃金は約1万~1万5000円。昼食代などで赤字になる人もいるほどです」と厳しい状況も教えてくれました。

安江さんは、京都府山城NPOパートナーシップセンターで相談員も務めています。その中で、府の職員から「授産施設の製品がなかなか売れない」という悩みを相談されました。

「出店を設置するのもいいけれど、人手もいるし、1カ所だけでは数もしれています。そこで地元の企業に協力してもらうのはどうかと考えたのです」(上村さん)

会社の贈答品やノベルティーに授産製品を利用してもらおうと考え、そのための商品カタログを作ることに。それで作成されたのが、宇治市内にある9カ所の授産施設とその商品を紹介する「そっとほっと」です。 それを1部ずつ設置してもらおうと、9人のメンバーが地元の企業を訪問。その結果、350カ所以上もの企業や店舗に設置できたのだそう。

カタログを社内で回覧し、注文してもらうことに加え、「カタログを持って行くと、『販売したい』というお声をいただくことも」と上村さん。

スペースの用意があればイベントなどでの販売にも応じています。すでに地元の電器店や美容院の前などで販売を行った例もあるそう。

社員食堂で週何度か販売している企業もあるほか、残業中の“置き菓子”として販売するという案も進行しています。

「良いものだから買う」を目指して

「そっとほっと」を手にする上村さん(右)と安江さん

「そっとほっと」を実際に見せてもらいました。部分を拡大した写真と全体像がわかる写真が使われ、レイアウトも見やすいよう工夫されています。おいしそうなクッキーやブラウニー、パンをはじめ、手芸品や木工品、陶芸品なども。

見比べると、各作業所によって商品に特色があるのもわかります。

「たとえば『志津川福祉の園』は陶芸品が特徴。茶団子の箸置きやストラップは平等院のおみやげ店でも販売され、人気なんです」(上村さん)。「黄檗の洛南共同作業所は『おかし畑』という焼き菓子工房を設けるほど、お菓子に力を注いでいます。バター1個、小麦粉1つにも国産にこだわっているんですよ」(安江さん)。ほかの作業所のパンやお菓子も、防腐剤などの添加物を使わないシンプルな材料のものが多く、見ているうちに、あれもこれもほしくなってしまいました。

「イベントなどで販売していると、かわいそうやからと買ってくださる方もおられます。でもそうではなく、『良いものだから買う』というふうにしないと限界があります。今後は商品自体の質やデザインを向上させる努力も必要ですね」と上村さん。

現在、ラベルやパッケージのデザインを向上させようと、デザイナーを講師に招いて各作業所職員を対象に講習会を行ったりもしています。

カタログは宇治市社会福祉協議会のほか、宇治市内の美容院や歯科、喫茶店などにも設置。同NPOのホームページでも見られます。
4月21日(土)・22日(日)に宇治公園(中の島)で行われる「ええもん発見市in山城」でも授産商品販売があります。

問い合わせは、まちづくりねっと・うじ=TEL:0774(31)7080、
http://www.ujimachi.or.jp/

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