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フタバアオイを縁に広がる輪
上賀茂神社の境内で文化や伝統を学ぼう

以前は身近な場所に群生していたフタバアオイですが、近年、全国的に減少傾向にあるのだそう。このフタバアオイを京都で育てる取り組みをしているのが、NPO法人「葵プロジェクト」。その活動の一環として、4月から「葵文化サロン」という催しを定期的に開催します。

アオイといえば、5月に上賀茂神社と下鴨神社で行われる「葵祭」を思い浮かべる人も多いのでは。6世紀の中ごろから始まったこの歴史ある祭りでは、行列に加わる人たちが身に付けたり、社殿に飾ったりと、約1万枚ものフタバアオイが必要なのだとか。 そんなフタバアオイが、京都では環境の変化やシカに食べられたりして、ここ数年で激減。そこで「葵プロジェクト」は、上賀茂神社にアオイの森を再生させようと活動しています。 「平安時代はアオイを“あふひ”と呼んでいたそうです。“ひ”は神様のこと、神に会うという意味を持つ神聖な植物であり、たくさん群生していた身近なものでもあったからこそ、祭りにも使われたのではないでしょうか」と話すのは、同プロジェクト事務局の高瀬川薫さん。 プロジェクトでは神社の森から株分けしたフタバアオイを販売して家庭や企業で育ててもらい、株が増えたら、神社の森に一部を戻してもらうよう働きかけをしています。そのほか江戸時代から伝わる儀式「葵使(あおいつかい)」を復活させたり、「葵縁日」というイベントを開催するなど、フタバアオイを通じて、日本の文化や伝統に目を向けてもらおうと取り組んでいます。

「葵文化サロン」を4月から定期開催

子ども操法大会

昨年開かれたサロンの様子。4月からは境内にある重要文化財「庁屋(ちょうのや)」の中で講演が行われ、建物前で懇親会が開催される予定

同プロジェクト主催で、4月から定期的に上賀茂神社で開催されるのが「葵文化サロン」。昨年、「日米の文化の違い」や「源氏物語」といった内容で、講師を囲んで気軽に語り合うイベントを10人程度の規模で行ったところ、参加者から好評を博し、今後は月1回(開催がない月もあり)、定員を30人に拡大して実施することに。プロジェクトの活動紹介のほか、毎回さまざまなテーマで伝統や文化に関する専門家を招いて講演会が開かれます。

「幅広い人たちに興味を持っていただけるように、ファッションや食など、さまざまなジャンルで企画する予定です。サロンを縁に、平安時代から変わらない姿を残す、世界遺産でもあるこの神社に足を運んで、豊かな自然や歴史を感じて癒やされてほしい」(高瀬川さん)
講演後には講師を囲んで、お茶と菓子を楽しみながらの懇親会も予定。講師に直接質問をしたり、参加者同士の交流を図りながら、和やかな雰囲気で文化や伝統に触れる時間となりそうです。

子ども操法大会

同プロジェクト事務局の高瀬川さん。上賀茂神社近くの高瀬川さんの実家の庭にも、フタバアオイがたくさん育っているそう

1回目は4月22日(日)午後1時30分~、京都市歴史資料館館長の井上満郎さんを講師に「平安京以前の京都」と題して行われますが、すでにたくさんの応募があるとのこと。若干名は受け付けてくれるので興味がある人は、まずはメール(info@afuhi.jp)で問い合わせを。受講料1500円。5月以降の講演のテーマは公式ブログ(http://d.hatena.ne.jp/afuhiproject/)で発表される予定です。

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