髪形を変えたり、ネイルをしたり。女性にとっては楽しい時間ですね。
「でも、抗がん剤治療の副作用で脱毛している人や爪が変色してしまった人にとっては、美容院やネイルサロンはハードルの高い場所でもあります」と三田果菜さん。高校時代、身近な人ががんを患った際、女性患者の美容の悩みが深い一方、相談できる場所がないことに気づいた彼女は、美容師資格を取り、大学卒業後に起業。病気に悩む女性の美容サポートや、親ががんを患っている子どもたちの集いの場の企画など、多彩な活動を行いながら、2月に専門個室美容室「Ccure(クキュア)」(中京区)をオープンさせました。
「帽子やカツラを扱うお店はあっても、地毛のカットは美容院じゃないとできない。でも、すべての美容院が患者さんの髪の扱いに慣れているとは限らない。予算も含めた美容全般のことを、一カ所で相談できる場をつくりたかったんです」
病気と向き合う人たちを支える中で、三田さんが思う「生きる力」とは?
「困難を抱えたままでも前に進もうとする力かな。ここに来られるお客さまと話していると、その力の大切さに気付かされます」
Ccure=TEL:075(200)1657
「ヒトとゴリラは同じ霊長類ですが、価値観には大きな違いがあります」と京都大学理学部人類進化論研究室教授の山極寿一(じゅいち)さん。その一つは、「勝ち負け」に対する気持ちだとか。
「人間は『人に勝って尊敬されたい』と思いがちですが、ゴリラにはその欲求がない。ゴリラ社会では、メスや子どもなどの弱い立場の者が強い者より先に主張できるなど、両者が対等でいられるためのルールがあります。『勝つ』ことではなく、みんなが『負けない』ことが重視されている。そんな彼らの生き方を見ていると、競争社会で人間は疲れているように見えるし『勝とうとする気持ちが、生きる意欲をそいでいるのでは?』とも思います」
過去数回にわたり、アフリカでゴリラの調査をしてきた山極さん。予測不可能なことが多い大自然の中で「急なトラブルにも柔軟に対処できる『生きる力』がついた」と言います。
「アフリカは、人が暮らす場所にもゾウやサル、毒ヘビなどの野生動物がいるし、大雨も降る。自然とともに生きることで、得られる力というのはあると思いますね」
池坊華道会(中京区)では、東日本大震災後、岩手県・福島県・宮城県で生け花のイベント「復興支援特別講座『花のちから』」を5回にわたり行い、地元の人たちを励ましてきました。
「東北支部の方々が『こんなときだからこそやりたい』と準備を進めてくださいました」と広報担当の徳持拓也さん。
来場者の中には、親戚を20人以上亡くし、喪服が片付けられない中、参加した人もいたとか。
「私たち生け花をしている人間も、つらいときほど花を生けたくなります。花の生命力が人を癒やしてくれるのかもしれませんね」(徳持さん)
私は、生まれつき、PWSという病気をもっています。食べても、いくら食べてもまんぷくかんが、かんじられないので、体重のコントロールがむずかしく、体重がふえるという病気です。この病気は、まだまだ、しられていないというのが、げんじつです。でも、私はこのPWSと、じょうずにつきあっています。でも、それでも、つまずきます。でも、私は、生きているいじょうこの病気とむきあわないといけません。でも私は、生きているのだから、いちにちいちにちを、たいせつにし、生きつづけようと思いました。(中略)
私は、これからも、両親と、ともにたくさん思い出を作っていきたいと思います。生きるということ、たいせつだと思います。(右京区・31歳・もみじ)
記者より
このほかにも「生きる」というテーマで多くのお便りをいただきました。一通一通から、現在抱えている問題と向き合いながら、前に進んでいく力強さが伝わってきました。ありがとうございました。