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万一の寺社の火事に、ご近所さんも出動!
「文化財まもり隊」が宇治で活動中

数々の寺社がある京都。建造物も仏像も、ほとんどが木など燃えやすい材質でできているので、「もし火事になったら…」と心配になったことはありませんか。
昨年、宇治では16団体からなる「文化財まもり隊」という組織が完成しました。今年の1月26日(木)の文化財防火デーにも訓練が行われるそうですよ。

宇治には世界文化遺産をはじめ貴重な文化財を所有する多数の寺社がありますね。でも、防火設備・体制がしっかり整っているところばかりではありません。

「今まではお寺や神社の方だけで対策をしておられましたが、もし火事が起きたら、通常の火災でも必要な通報、初期消火、避難誘導に加え、仏像など文化財を運び出す必要もあります。すべてを寺社の方だけでまかなうには人手が足りないところが多いため、京都市の同様の制度にならって、地域の方々に“文化財まもり隊”を結成していただくよう呼びかけました」(宇治市消防本部予防課・角田哲也さん)。
万一の火事の際には、近隣の自治会や町内会、商店街などのメンバーで結成された「まもり隊」がいち早く駆けつけ、消火活動などを手伝うというシステムです。

国宝や重要文化財、府・宇治市指定の木造建造物のある宇治市内の寺社16カ所それぞれに、平成20年末から2年以上をかけて、「まもり隊」が結成されました。「地域の方々には負担になりますし、“責任が重い”と尻込みされるところもありましたが、参加団体が増えるにつれ『じゃあうちでも』というふうに考え直してくださったりもしました」

活動の内容としては、年1~2回消防訓練を行うほか、定期的に夜間の見回りをする団体もあるそう。「いつでもお参りできるよう開放されているところもあるので、放火を防ぐため見回りが有効なのです」と角田さん。

1月26日(木)は「文化財防火デー」。この日、宇治神社の「文化財まもり隊」が消防訓練を行います。どんな訓練をしているのか、見学することも可能です。
問い合わせは同課=TEL:0774(39)9402。

「まもり隊」隊員に聞きました

「興聖寺等文化財まもり隊」会長・通円亮太郎さん

  • 私たちの隊は、宇治川右岸の「宇治源氏タウン銘店会」の商店主21人で結成しています。もともと銘店会の中に消防団員がいるので、月1回の定例集会の中で自然に「やろうか」という流れになりました。
    実際に訓練してみて、「こりゃ大変だな」と思いましたよ。万一、興聖寺周辺で火事が起こったら、同寺の梵鐘(ぼんしょう)をついて知らせる決まりなのですが、まず参道の琴坂を上がるのに体力がいる。消火栓も、大人3人がかりでないとコントロールできません。同寺には貴重な仏像も多いのですが、ご住職には「全部が大変なら、首だけでも持って出て」と、首がはずれることを教えていただいたりもしました。
    9月には2回目の訓練を実施しました。やっぱり年に1回くらいはやらないと忘れますから。地域の人の防災意識が高まることが、この制度の良いところですね。

お寺側も「ありがたい」

興聖寺からのコメント

  • 当寺一帯は府の文化財環境保全地区に指定されており、「手習観音」など宇治市の指定文化財もあります。
    こちらは曹洞宗の修行寺なので、平均4~5人の修行僧がいます。でも彼らは大体1~2年で帰ってしまいますし、少ないときは寺に人が2~3人しかいないこともあります。
    そんなときにもし火災が起こったら全く人手が足りませんので、こうした制度は本当にありがたいですね。消防訓練には私たちも参加し、地域の方々と一緒に防火活動を学んでいます。

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