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中京区役所で「京都みつばちガーデン推進プロジェクト」がスタート

中京区役所に、屋上庭園があるのを知っていますか?
今年で誕生5年目を迎えるこの庭に、10月末から新しい仲間がやってきました。それは、約2万匹のニホンミツバチ。どんなふうに飼われているの? そして、ハチを飼う目的とは…?

屋上の入り口で、最初に記者を出迎えてくれたのは、ゆうに2mを超える背丈があり、ピンク色の大きな花を付けたコウテイダリア。ワッ、こんな花、初めて見た!

芝生が広がるゾーンには、かわいいマリーゴールドや、秋を感じさせるフジバカマやススキが…。植物の種類は和洋さまざまですが、統一感があって心がなごみます。

これらの植物を世話するのが、区民ボランティア「中京・花とみどりの会」の人たち。15人ほどの男女が手を休めることなく精を出す姿を眺めていると─。あっ、向こうにハチの巣箱を発見!

日本固有種であるニホンミツバチが2万匹住んでいるというそれは、中京区役所が、京都学園大学バイオ環境学部教授の坂本文夫さんから借りているものです。

ニホンミツバチの体長は約1cm。かなり小ぶりです。「ニホンミツバチはおとなしいので、こちらから攻撃しなければ、刺されることはめったにありません。せっせと蜜を運ぶ姿がいじらしいですね」と西村さん

街の緑とハチの命を守るために

作業にいそしむボランティアの人たち。「自宅で育てられる花の数は限られているので、ここで思う存分土いじりをしています」と、みんな楽しそう! メンバーは作業の後、ニホンミツバチについての勉強会を行っていました

屋上庭園でのニホンミツバチの飼育は「京都みつばちガーデン推進プロジェクト」と名付けられ、中京区が京都学園大学や、京都市衛生環境研究所と連携して実施しているもの。同区の緑化活動の一環として行われているそうですが、ハチの飼育と緑化には、どんな関係があるの?

「ハチは花の受粉を助けるので、果物や野菜などの実のなる植物は、ハチがいなくなると採れる数が減ってしまいます」と、中京区役所総務課の久保国男さん。

「また、ハチの受粉によって木の実がなると、それを食べる鳥がやって来るので、生物循環が活性化するんですよ」と区民ボランティア「京・みつばちの会」事務局長の西村勇さん。

ミツバチの飼育を通して自然を守ろうと始められたこの試みですが、さらにもう一つ目的があるようです。

「街の信号機に取りついたハチが駆除されたというニュースを聞いたことがありませんか? あのハチは、それまで住んでいた巣を集団で出た後、新しい巣を作る場所を探しに旅立つ途中で一時的に集合しているところなんです。ハチが集団で新しい巣を探す旅に出る習性を『巣分かれ』『分封(ぶんぽう)』と呼びますが、分封したハチが人通りの多い場所へ行くと、駆除せざるをえません。それを避けるために居場所をつくり、ハチの生態についても伝えていくことで、自然の大切さを伝えたいんです」と久保さん。

いずれは、はちみつの採取も予定しているそう。「近隣の小学校での食育や環境教育にも役立ててもらえれば」と、思いはどんどん広がっています。

屋上庭園の入場の際は、中京区役所4階の総務課へ一声かけて。
中京区役所総務課=TEL:075(812)2420。

ココには注意を

ニホンミツバチは攻撃性の低いハチですが、巣箱を見るときは、次のことを守ってください

  • ・白っぽい服装で行く(黒・紺系の服装は、ハチが警戒します)
  • ・女性はズボンを着用し、すそを絞ったほうが良い
  • ・香水もNG
  • ・巣箱は、1m以上離れたところから見る
  • ・巣箱をたたいたり、動かしたりしない
  • ・ハチがまとわりついても追い払わず、ゆっくり 遠ざかる
     (追い払うと攻撃されたと感じてハチが刺すこ とも)

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