慌ただしい朝は、“チラ見”したり、“聞く”ことで何分ごろ、そろそろ…と理解する人も多いよう。
ルールが決まっている場合は、子どもとの約束事がほとんど。同じ時間に見たいテレビが重なったときは、子ども同士、交代で見るという家庭もありました。
回答からは妻よりも夫がテレビが好きで…という家庭が多いようでしたが、
これは家にいる時間(=テレビを見ることができる時間)の長さと関係があるのかも?
食事中はテレビを消す派のほうが多かったのですが、これは子どもの年齢や有無によって変わる傾向が見られました。小さい子どもがいる家庭では、“消す派”が多数。 ちなみに、「2010年国民生活時間調査」(NHK放送文化研究所)によると、平日の視聴平均時間「3時間28分」のうち、食事や家事など、他のことをしながら見る“ながら”視聴は「1時間20分」という結果が出ています。
コミュニケーションという面では、メリットとデメリット両面あり。中には、「テレビと団らんは関係ない。テレビから共通の話題を得る必要はない」(Y・41歳)という考え方も。
「テレビがない生活を選んでいます」
地デジ完全移行の際、「テレビを買う」「チューナーを付ける」ではなく、「テレビは不要」という選択をした家庭もあります。〝テレビなし生活〟を選んだ、Tさん一家は夫婦と中学生、保育園児という4人家族。
「まぁ、いいかというくらいの気持ちで(笑)。以前から、テレビ漬けの生活というわけでもありませんでしたし、実際、テレビが見られなくなっても特に困ったことはありません」。情報収集は、新聞、インターネット、ラジオで十分なのだとか。
「中学生の子どもは、学校で話題についていけないこともあって、時々『見たいなぁ』とは言いますが、今すぐ購入ということは考えていません」
テレビがないことのデメリットよりもメリットが多く、「子どもの勉強時間が増えました(笑)。それから、家族の会話も」。
とはいえ、将来的には購入も考えるとTさん。
「家族の意見が一致したときがそのタイミングでしょうね」
読者アンケートからは、「震災以降、なんとなくテレビをつけているというのはやめた」(AU・48歳)、「夫は見ていなくてもつけっぱなしのことが多いので、娘は『電気代がもったいない』と言いながら消しています」(でこちゃん・36歳)、「見ないときは主電源を消す」(はーちゃん・43歳)というように、エコの意識が高まったという声も目立ちました。
「毎月16日は『ノーテレビ・ノーゲームデー』なので、この日はテレビを控えめにしています」とアンケートに記入してくれたのはFMさん(35歳)。
この「ノーテレビ・ノーゲームデー」とは、京都市立幼稚園PTA連絡協議会が取り組んでいる、平成20年9月に始まった活動のこと。京都市立の16幼稚園で行われています。
この活動が始まったのは、「電子メディア」に接しない生活のあり方を通して、子育てに優しい社会環境について考える、そして「子どもが将来生活する場としての『地球環境』の未来について考えるきっかけ」にすることが目的なのだとか。
「エコを意識して、見せっぱなしにしているテレビはやめよう、子守り代わりに見せているテレビはやめようと呼びかけています。平成21年からは、16日はテレビから離れて親子でコミュニケーションを取ろうという目的で、『一緒に絵本を読もうデー』という取り組みも加わりました」と同協議会会長の谷口由美さん。
この“16”ですが、これは京都議定書の効力が平成17年2月16日に発生したことなどを受けて決められたそうですが、「16日じゃなくてもいいんですよ」(谷口さん)。
例えば16日に見たいテレビ番組があれば…。
「その日は家族でテレビを楽しんで、その代わり、別の日をノーテレビデーにするなどもいいですね。16日は意識付けのために設定しているので、月に一度は、親子でできることを考えて取り組んでほしいと思っています」
テレビ画面から近すぎたり、長時間見続けたら、「あ~、目が疲れた」。そんな経験を持つ人は多いのでは?
京都府眼科医会の会長・佐々本研二さんによると、「テレビを見るときは2メートルほど離れるのが良いといわれています。地デジ化に伴って大きなテレビを購入した家庭もあると思いますが、大きくなればなるほど離れるのがいいですね。室内を暗くして見るという人もいるようですが、あまり好ましくはありません」。
最近では3Dテレビも人気ですが、気をつけたい点もあると佐々本さん。
「子どもの場合は注意が必要。斜視になりやすい要素を持っている子どもは、その症状が出る可能性が高まります。少なくとも6歳以下の子どもには、あまりおすすめできません。自分で視聴時間やテレビの見方をコントロールできない子どもには、テレビとの付き合い方を親が教えてあげてくださいね」
乳幼児の発達を専門とする京都ノートルダム女子大学・心理学部心理学科の教授・高井直美さんに、“テレビと子どもの発達・成長の関わり”について聞いてみました。
「テレビを見ているから知能が下がるという因果関係はありませんが、長く見ている子どもは学習能力や意欲、積極性が低いという調査結果は出ています。テレビを見ている時間はほかのことができない、あるいはほかに興味をもたないからテレビを長時間見てしまうのかもしれません」
ただ、テレビを見ること自体が悪いわけではないと高井さんは話します。
「注意したいのは、テレビは一方的だということです。特に0~2歳という言葉を覚える時期の子どもにとっては、“応答性”が大切なんです。例えば、子守り代わりなどで、テレビを漫然と見せているのは問題があるように思います。親も一緒に見ながら、内容について会話をしたり、子どもに話しかけるなどして親子ともに楽しみながらテレビを上手に活用できればいいですね」