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長岡京市のNPOが
「京都西山古道を歩こうハンドブック」を発行

善峯寺(京都市西京区)から柳谷観音楊谷寺(長岡京市)、光明寺(同)の京都西山三山を結ぶ山道は西山古道と呼ばれています。整備を手がけた地元NPOが「この道に多くの人が訪れるように」とハンドブックを発行。記者もその本片手に、西山古道ハイキングを体験してきましたよ。



歩きやすくなった山道に親しんで

西山古道は、かつて信仰の道として利用されていましたが、近年は荒れ果ててけもの道に。それを3年かけて整備し、ハイキングコースとしてよみがえらせたのがNPO法人「京おとくに・街おこしネットワーク」(長岡京市)です。

「歩きやすくなった道をより多くの人に親しんでもらいたい」という思いで、今年6月に発行されたのが「京都西山古道を歩こうハンドブック」。全29ページの中で、善峯寺や大原野など、西山古道周辺24カ所の自然や古刹(こさつ)を紹介。「ポケットに入る手軽な大きさに」とサイズにもこだわったそうです。

ゲームの流れメンバーの長尾さんが撮影した写真や、木村さんの直筆のイラスト、全員であれやこれやと言いながら考えたという解説文など、ハンドブックの随所に地元への思いがこめられています

美しい緑に湧き水…山の魅力を体感

NPOメンバーは60歳以上のシニア世代。左から木村嘉男さん、中小路順子さん、長尾雅夫さん、大下邦男さん、中山秀亞さん。「多くの人に歩いてもらえばもらうほど、道がしまって歩きやすい道になる。たくさんの人に西山古道を訪れてほしいです」


8月下旬、記者もハンドブックを手にしながら、同団体のみなさんに西山古道を案内してもらいました。善峯寺からスタートし、しばらくはゆるやかな登り坂。分岐点ではNPOメンバーが間伐材で作った案内標識が道しるべになってくれるため、迷わず進むことができました。山深い道でもおいしい空気にパワーをもらいながらトントンと足が進みます。道中には、京都市内が一望できるところもあり、歓声を上げてしまいました。

すがすがしい瀬の音をBGMにさらに足を進めて行くと、メンバーが名づけたという「白糸の滝」へ到着し、ちょっと一息。ここでは、湧き水を飲むというごほうびも楽しめます。

古道沿線には約120種類もの樹木が生えているそうで、折り重なるように群生しているモミジ、メンバーの手で植樹が進められている楊光桜など、秋から春へとさらに見どころが増えそう。善峯寺から楊谷寺までなら2時間で歩くことができますよ。

京都市と乙訓二市一町をつなぐガイド本を

道しるべの作成も西山古道整備の一つ。間伐材を使うなどして、山の景観になじむよう配慮したそう

「今まで観光地などで配布されていたリーフレットは自治体単位。京都市と長岡京市、向日市、大山崎町の乙訓二市一町すべてをつないだガイドブックがなかったんです」と話すのは同団体理事の中山秀亞(ひでつぐ)さん。「観光で来られた方には西山古道という地道を自分の足でたどれるところが面白いと喜ばれています」と話します。

「本当は“このエリアにはこんな植物が生えているよ”という情報も入れたかったのですが、そうするとみんな摘んで持ち帰られて、なくなってしまうんですよね」と、ガイドブック編集を主に担当した木村嘉男さんからは少し残念なお話も。この冊子を手に、地域を守る人々の思いを感じながら、そしてマナーを守りながら、西山の雄大な自然や文化遺産に触れてみてくださいね。

同ハンドブックは、長岡京観光協会で購入できます(200円)。また、280円分の切手と住所・氏名・電話番号を添えて、NPO法人「京おとくに・街おこしネットワーク」(〒617─0833 長岡京市神足2─3─1 長岡京市市民活動サポートセンター内)まで郵送すると送ってもらうこともできます。
問い合わせは  TEL: 090(5165)8405(同法人)まで。

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