街の集会所に、大学の落語研究会を招いて開く、手づくりの寄席。北区・鳳徳学区では、そんな「ほうとく寄席」を年4回開催しています。9月には、会場をいつもの集会所から国際交流会館へと移し、チャリティーイベントを行います。 撮影/児嶋肇ほか
二畳ほどの高座と、落語の録音テープがびっしり入った棚─。
訪ねたのは、京都大学落語研究会の部室。9月19日(祝・月)に開催される「第9回ほうとく寄席」に出場する、1回生の南悠樹さんが持ちネタの「桃太郎」を披露してくれました。こましゃくれた息子と、彼の言葉に怒ったり納得したりする父親の姿を熱演! 愛きょうたっぷりの表情に、笑ってしまいます。
練習を見守っていた部長の渡辺文人さんは「役に応じて声の調子をもっと使い分けて」とアドバイス。こんなふうに、寄席までに、部員の前で20回ほどネタを披露し、助言を受けながら完成させていくそうです。
「ほうとく寄席」は、北区にある鳳徳学区の集会所、財団法人「鳳徳会館」で、2009年から行われています。同館の創立30周年を機に改装した和室を地域活性化のために使おうと、同館評議員の久馬(きゅうま)正義さんと、地元在住の川勝和弘さん、桝中俊良(としお)さんらが中心となって企画。知人のツテをたどり、大谷大学、京都大学、京都産業大学、京都女子大学、立命館大学、龍谷大学の6大学の落語研究会と英語落語をする笑笑(ラフラフ)亭が参加する寄席になりました。
観客のほとんどは同学区周辺の住民。学生たちも「目の前でお客さんの反応を見ることができるのは勉強になる」「ほかの大学の落語を聞けて、いい刺激になる」と楽しみにしています。
「『せっかくだから百回を目指そう』と言っているんです」(久馬さん)。「そのころ、今の学生は40代。『子どもを連れて見においで』と言っています」(桝中さん)。「長く続けながら、学生と地域の絆を深めていければ」(川勝さん)
笑いを通じて生まれたつながりを後世に残したい─。そんな思いが伝わってきます。
今回で2周年となる「第9回ほうとく寄席」は、会場を左京区の国際交流会館に移して開催。今回は、いつもの面々に加え、世界各地で英語落語の公演を行う落語家の桂かい枝さんが特別出演します。
「国際交流会館が、東日本大震災チャリティーイベントを行う団体に会場を貸していることを知り、『今、自分のできることで被災地支援ができれば』と考えたんです。普段と違った人に来てもらって、笑いの輪が広がるといいなぁ」と久馬さん。いす席の数が限られているので、なるべく事前に予約して参加を。詳細は右表参照。