「突然、子どもを亡くした悲しみ━。それを乗り越える支えになりたい」。自身も流産を経験した鳥谷部(とやべ)千津さんが主宰する「ホープの会」。月に1度の集まりを支えにしている人がいます。
2003年、35歳で初めて赤ちゃんを授かった鳥谷部さん。
「ですが、妊娠3カ月ごろ、激しい腹部の痛みと出血に襲われて…。今までおなかの中にいたものが突然いなくなるなんて。つらくて悲しくてたまりませんでした」
クリスチャンの鳥谷部さんは礼拝に通ううち、「子どもを亡くした悲しみを消すことはできないけれど、希望を持つことはできる」と考えるように。その後、無事に2人の女の子を出産。育児をしながら、「つらい気持ちをひとりで抱え込んだままの人たちのために力になりたい」との思いが強くなっていったのだそうです。
そこで声をかけたのが、教会で顔を合わせる阿閉(あつじ)里美さんと小畑美奈子さん。育児や教育関係のカウンセラーである阿閉さん、助産師の小畑さんは、ともに鳥谷部さんに共感。そして、2008年12月、流産や死産、突然死などで子どもを亡くした人のための集い「ホープの会」を3人で立ち上げたのです。
会の活動は月1回、右京ふれあい文化会館の会議室で行われるティータイムがメイン。お茶を飲みながらいろいろな話をしたり、時には紙粘土のハンドクラフトやクリスマスのリース作りを楽しんだりして、「いきなり、自分の体験を話さなくてはいけないわけではありません」と鳥谷部さん。クラフト制作を通して、だんだんと話ができるようになった人もいるそうです。
小畑さんは「ここに来る時間が心のよりどころになり、力がぬけて気持ちが少しでも楽になっていただける場になれば、うれしいです」。また阿閉さんは「流産などの経験は話してはいけないことと思われがちですが、“話す”ことによって重荷をおろしてほしいです」と、カウンセラーならではのポイントを教えてくれました。
取材に訪れたのは6月のティータイム。実はこの日、流産を乗り越え、妊娠した参加予定者がつわりで急きょ欠席。
「体調は心配ですが、妊娠したというのはうれしいお知らせですよね。この方のように、つらい経験から回復した後も、妊娠中の体調の変化や産後の子育ての悩み、学童期の心配など不安はつきません。せっかくできたつながりを生かして、相談してもらえたらうれしいですね」(鳥谷部さん)
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ティータイム(毎月第2水曜、午前10時ごろ~正午、参加費300円)は、なるべく予約を。参加者の事情を考慮して、個別の相談にも応じてくれます。
ホープの会の連絡は、鳥谷部さん=
TEL:090(7104)5479、FAX:075(813)7873=まで。