“配偶者や友達に先立たれて寂しい”“話し相手がほしい”。そんな思いを抱える、一人暮らしの高齢者の家を訪ねるボランティア活動が京都市内で行われています。その活動をしている団体が「りすの会」です。
「僕らは自分たちの活動を“対話ボランティア”と呼んでいます。ただ相手の話を聞くだけではなく、ときにはこちらから話しかけたり、ごく普通の世間話を大切にしています」と「りすの会」代表で、内科医師の大矢治世さん。
大矢さんが2年間の準備期間ののち、会を立ち上げたのは、昨年のこと。たくさんの高齢者の自宅を往診する中、独居高齢者が話し相手を持つ重要性を感じていたことがきっかけだったそうです。
「孤独や寂しさ、不安感は薬では治らない。話すことが、一番の心の栄養だと私は思います。高齢になると、友達をつくるために外出することが難しい場合も多い。だから、こちらから自宅を訪ね、高齢者の方がくつろげる環境で話を聴こう、と思ったんです」
現在、高齢者の話し相手をすることは、介護保険のホームヘルプサービスでは対象外。医療や介護の現場で働くスタッフも、そこまで手が回らないのが現状です。こうした背景から、大矢さんは「対話ボランティア」を考えました。
「りすの会」は、ケアマネジャーを通じて、話し相手を求めている高齢者を募ります。その中から、ボランティアが訪ねても問題ないと大矢さんが判断した人の自宅をメンバーが訪問。
「一人暮らしのお年寄りの自宅を訪ねるのですから、十分な配慮が必要です。ケアマネさんと連絡を密にし、ボランティアは必ず2人1組で訪ねることにしています」と大矢さん。
また、月1回、下京区の「ひと・まち交流館 京都」で定例ミーティングを行い、活動の様子を報告し合います。そのときにメンバーが経験したことをもとに、「もし、途中で利用者さんが体調を崩されたときは…?」「トイレの介助を頼まれた場合は…?」など、さまざまな事態を想定したマニュアルも用意。
「この前のミーティングでは、“訪問先の人にまた来てねと言われた”というメンバーがいました。これが、対話ボランティアをしていて一番うれしい瞬間でしょうね」
現在、同会はボランティアを募集中。7月9日(土)に説明会が行われます。会に関する問い合わせは、大矢さんまでファクスで。
FAX:075(495)6215