他業種とのコラボやブランドの立ち上げなど、新しいことに取り組む「亀屋良長」。「良いご縁に恵まれたおかげです」と言う同社専務取締役の吉村良和さん。200年以上の歴史を重ねた同店の8代目です。
転機は10年前。フランスの料理学校で学んだ経験を持つ由依子さんと結婚したことで、「洋」の要素をヒントに、何かできないかと考えるように。しかし中途半端なことはしたくないと、模索を続けていた昨年、フランスで菓子職人をしていた藤田怜美(さとみ)さんが同店に加入。和、洋にとらわれないブランドの誕生という実を結びました。
吉村さんは「時代の流れにそってできたらいいですね。いろんな形で亀屋良長を知ってもらい、伝統的な菓子にも手を伸ばしてもらえたら活性化につながるかも」と将来を見据えています。
1~1.5センチ程度のカラフルな宝形の干菓子を、ポップなデザインの袋にいれた「宝ぽち袋」は昨年登場した亀屋良長の新商品です。
ぽち袋の製作はテキスタイルデザインなどを手がける「SOU・SOU」に依頼したもの。吉村さんは日本の伝統を現代の生活に取り入れた、同社のコンセプトに以前から共感していたそう。「“今”の空気感を込めた和柄に魅力を感じる」と言います。小さな干菓子とぽち袋の愛らしさは見事に調和。まとめ買いする人もいるほどの人気ぶりです。
和菓子の桃山生地にチーズとレモンを合わせた一口サイズの焼き菓子「ほのほの」と、オリジナルの白あん入りスポンジを使った「餡之匣(あんのはこ)」。和、洋両方の素材と製法を取り入れたこれらの菓子は、亀屋良長の新ブランド「Satomi Fujita by KAMEYA YOSHINAGA」のものです。
このブランドの商品開発を手がける藤田怜美さんは、フランスの二つ星レストランでシェフパティシエとして活躍していたキャリアの持ち主。昨年パリで行われた講習会で和菓子に一目ぼれし、転身を決意。現在は亀屋良長で和菓子職人として修行中です。
藤田さんの経験と亀屋良長が融合した新ブランドは、ますます注目を集めそうですが、自分の名前がついていることには「ちょっと恥ずかしい。自分のことではないような不思議な気持ち」と、藤田さんは照れくさそう。
「和菓子が好きなお父さんの誕生日にプレゼントにしたい」「友人がお店を開店するから、バラがたっぷりのお菓子をお祝いにもって行きたい」─。そんな声に応えているのが、8年前から登場している、とらやの「和菓子オートクチュール」です。
デザインや生地など、お客さまの要望を聞いてゼロから作りだす、世界で一つの和菓子。「試行錯誤しながら、お客さまと一緒に作り上げていきます。複雑なものだと1カ月以上かかることもあります」とは、同店のお得意様係・小林孝男さん。
注文は500グラム以上から可。価格は注文内容により変わりますが、おおよそ5000円から。
ウエディングパーティーの演出の一つとして人気の、皆が庭に出て行われるデザートビュッフェ。昭和初期に建てられた歴史ある元和邸宅・京都洛東迎賓館では、7年前から「和菓子ビュッフェ」を始めました。季節ごとに趣向を凝らした生菓子20種類ほどが、和庭園の特設テーブルにずらりと並ぶ様子は、見た目も華やか。「披露宴後にお持ち帰りいただけるよう、ひとつづつパッケージに入っているのも皆さんに喜ばれています」と同館の湯下愛子さん。
また、緑あふれるSHOZAN RESORT KYOTOでは、「和の婚礼の流行とともに『日本庭園でのデザートビュッフェが、ケーキだけでは何かイメージが合わない』というお客さまが多くなって。オプションで和菓子ビュッフェを追加できるようにさせていただきました」(ブライダルサロン・今江隆伸さん)とか。「結婚式ならではの幅広い年齢層に好評です」