おばあちゃんが子育てに参加することで、親子に笑顔が広がれば―。そんな思いから、子どもとかかわる活動を続けている「ばぁば」がいます。それが村上トキさん(68歳)。手先を使った遊びを提案する小冊子を発行したと聞き、活動拠点である伏見区の藤城児童館を訪ねました。
「子育てと家事のすべてを一人で背負うお母さんは大変! 時間に余裕のあるおばあちゃん世代の“孫育て”に大賛成です」。ハキハキと話す村上トキさん。保育士の経験を持ち、65歳で同志社大学大学院に入学したパワフルな女性です。
大学院では、乳幼児の「切る・張る・ボタンをはめる」などの指先を使った活動(手しごと)を研究。藤城児童館を拠点に「ばぁばの手しごと宅配便」と銘打ったワークショップなどを開催してきました。これには、地元で活動している高齢女性の会「びゅーてぃふる・ばあちゃん・クラブ(BBC)」のメンバーも、子どもに手しごとを教える仲間として参加。
「子どもたちはおばあちゃんのゆったりした雰囲気に安心するようで、お母さんたちも喜んでくださいます。BBCのメンバーも、若いお母さんや子どもさんから元気をもらえると、会うのを楽しみにしています」と村上さん。手しごと遊びが、3世代によい影響を与えているのですね。
今回発行した小冊子は、この春修了した大学院の研究課題としてまとめ上げたもの。
「集中力を育て、知能の発達を促す“手しごと”を通して、親子の充実した毎日を応援したい。この冊子が、孫とどうかかわればよいかわからないおばあちゃんたちのヒントになれば。また近くにおばあちゃんがいないお母さんたちにも、おばあちゃんの温かさが伝わればうれしいです」
ボタンにファスナー、洗濯バサミ…。村上さんが提案する乳幼児の「手しごと」は、身近にあるものを使って、簡単に始められるものばかり。そのアイデアを教えてもらいました。
〈切る〉はさみを使う作業は、子どもが夢中になる確率ナンバーワン。
「ひと裁ちで切り落とせるよう、画用紙を細長く切り、横にハサミを入れていきます(写真参照)。切る作業に慣れてきたら画用紙に直線や曲線を書き、線上を切る練習へとステップアップ」
〈縫う〉適当な長さに切った毛糸と、厚めの紙を用意。紙に錐(きり)などで等間隔に穴を開け、毛糸は両端2cmくらいをボンドなどをつけて固めておきます。穴に毛糸を通していけば、なみ縫いのできあがり。「毛糸の先を固めてあげれば、ビーズなどの通し遊びもやりやすくなります」
どんな作業も、最初にゆっくりした動作で見本を見せてあげることがポイント。子どもが取り組んでいる最中はせかさないこと。困っているとき以外は手を出さずに見守ること。そして、できたときは優しくほめてあげることが大切だそう。
問い合わせは、藤城児童館(伏見区桃山町正宗52-6)=TEL:075(622)1127=へ。