フクロウやカワセミ、甲羅に藻の生えた「ミノガメ」…。こんな動物たちが、動物園のおりの中ではなく、城陽の自然の中にいるんですって。市民や市民団体などからなる「城陽環境パートナーシップ会議」が、城陽に生息する生き物たちを、持ち運びに便利な本「知ってる? 城陽の宝もの2010」にまとめましたよ。
手のひらサイズのハンドブックには、ほ乳類、鳥類に、昆虫や両生類、魚類など、331種が掲載されています。こんなにたくさんの動物のデータを、どのように集めたのでしょうか。
「地域の環境保全に取り組むため、平成15年に城陽環境パートナーシップ会議が結成されました。その活動の一環として、年に数回、鳥類や魚類などを観察する『自然観察会』を開催してきたのです」と同会議運営委員で、鳥類・は虫類研究家の中川宗孝さん。中川さんたちメンバーが集めたデータや、観察会での成果が今回集約されているそうです。
「たとえばこのハンドブックに掲載されている、京都市の天然記念物指定のミナミイシガメや、府内で2例目のヌマガエルは、観察会で小学生が発見したんですよ」
昨年3月からは、市民に向けて動物の情報提供を呼びかける「城陽生き物住民登録」という取り組みも始動。翌日からたくさんの情報が窓口に寄せられたのだとか。南山城地域では観察記録のなかった「ニホンアナグマ」が「うちの境内にいる」と、ある神社の神主から連絡が入るなど、中には希少な情報もあったそうですよ。
アライグマやブルーギルなど、もともと城陽にいる生物を脅かすおそれのある外来種も、〝注意すべきもの〟という見地から掲載されています。
それにしてもこのハンドブック、美しい写真が豊富。記者も取材中に見入ってしまいました。「素晴らしいのは、写真を無償でご提供いただけたことです」と、同じく運営委員で京都大学教授の水野尚之さん。特に熱心な撮影者の多い鳥類は、図鑑に掲載できるような質の高いものが数多く寄せられたそうです。
解説文にも注目です。「アドバイザーとして各分野の専門家が参加。掲載すべき動物の選択や分類も含め助言をいただけたので、学術的にも価値の高いものに仕上がりました」と中川さん。
今回作成されたのは3000部。城陽市内の新小学4年生に配布されるほか、自然観察会参加者にも配られる予定です。
「市町村単位でこういう調査をまとめるケースは珍しいので、いずれホームページを作成して、誰もが見られるようにしたいですね」と水野さん。今後もデータを更新していくため、「生き物住民登録」への情報は引き続き募集中です。
「下水整備や清掃などで川が生き返り、10年前なら見られなかったような水生生物が帰ってきている場所もあるんですよ」(中川さん)。今回掲載されているもの以外にも、地域の動物たちが今後も増えていくと良いですね。