昨年1月、伏見区総合庁舎4階に移転した京都市伏見青少年活動センター。センター前のオープンデッキには、ハーブと季節の花が咲く花壇が広がっています。これは同センターの「ふしみ縁庭プロジェクト」なる取り組みで作られたものだそう。どんな“庭”なのか、見に行ってきました。
取材に訪れたのは、寒風が吹きすさぶ日。庁舎に横付けされたトラックから、プロジェクトのメンバーが土のうを降ろしているところでした。その数120袋以上!
これは上京区の寺の庭に堆積(たいせき)していた腐葉土を譲り受けたもの。「これまでも、市民の方などから土を寄付してもらっています。今日はお寺で土を掘り起こして袋詰めして運んできたので、はぁ~大変。今までの作業で一番大変だったかも」と笑うのは、園芸療法士の寺田裕美子さん。
昨年1月の移転時、花壇には土すら入っていなかったのだとか。「一から花壇を作らないといけなかったのですが、予算も人出もなくて…。せっかくだから、花壇作りを何かの活動に使えたらと思って」と同センター所長の正木隆之さん。そこで、これまでにも事業を通してつながりのあった「京都ARU」の梅林秀行さんに相談。紹介されたのが寺田さんでした。
京都ARUは、引きこもりの若者や家族を支援する団体。「引きこもっている人も参加したいと思えるように」と、パン作りや農園芸ボランティアなど共同で作業できる場所作りに取り組んでいます。寺田さんも、園芸療法のノウハウを生かしてサポート。園芸療法は、園芸を通して心や体のリハビリを行うもの。欧米で広く活用されており、最近日本でも広まっているようです。
現在では、京都ARUのメンバーや園芸療法を学んだ卒業生、ボランティアなど、多いときで15人以上がこの花壇の世話をしています。
中でも、京都ARUの活動の一環として昨年6月に参加し始めた岡野秀紀さんは、水やりのため週3回も自転車で通っているのだとか。
「植物は機嫌が分かりやすいですよね(笑)。最初は義務感で来ていましたが、植物を育てているうちに、『きれいな花を咲かせたり実のなる植物を育てて、センターにくる子どもたちにも喜んでもらいたい』と使命感を持つようになりました」
引きこもりから脱却しつつある岡野さん。農業に従事したいという夢も芽生えたそうです。
「汗を流して作業を終えたときの達成感がたまらない」と、これまでの庭作りを振り返るみなさん。「“縁庭”とは、いろんな縁をつなぐ庭になるようにと名づけられたんですよ」(寺田さん)
3月13日(日)には、この“縁庭”をはじめ、伏見青少年活動センターの各事業が披露されるイベント「サラダボウルフェスタ」も開催(表参照)。 問い合わせは、伏見青少年活動センター(伏見区鷹匠町39-2 伏見区総合庁舎4階)=TEL:075(611)4910。
ふしみ縁庭の1年間の活動報告とともに、「竹で移植ゴテ作り」「土入れ」「種まき」「苗植え」などを行います。種や苗の持ち込みも歓迎とのこと。当日は、花壇の付近にメンバーがいるので声をかけてみて