京都府内に住むダウン症の子を持つ親たちがつくった「トコトコの会京都」。障がいのある子どもたちのことをもっと身近に感じてもらいたいと、親が撮影した子どもたちの写真展を各地で開催しています。写真展を訪ね、メンバーに話を聞きました。
この日訪れたのは、ジャスコ久御山店で開催されていた写真展(2月21日で終了)。買い物途中の人たちが大勢足を止め、写真に見入っています。日常にある何げないシーンを切り取った写真からは、親だから撮れる子どもたちの生き生きとした表情がみてとれ、印象的です。
「障がいのある子どもやその親たちは、ネガティブなイメージでとらえられてしまうことが多いんです。でも、日々の暮らしは全然特別なんかではない。障がいがあることは不幸ではない、個性の一つだと知ってもらいたいんです」と話すのは、メンバーの一人、武田みどりさん。昨年7月に3人目の子となる次男「一心(いっしん)」くんを出産し、6日後にダウン症の告知を受けました。
「そのころインターネットで、同じ立場のお母さんが書いているブログを見つけ、障がいを前向きに受け止めて育児をしている様子に、とても励まされました。この写真展も、告知を受けて不安を感じているお母さんたちにとって前向きな一歩が踏み出せる手助けになれば」と話します。
取材中、武田さんをはじめ、お母さんたちはみな明るく、笑顔が絶えません。記者も子を持つ親として同じ立場になったらと考えたとき、笑顔でいられるだろうか。そう思ったとき、「こんなふうにわが子の写真を撮影して、展示する日がくるとは思いませんでした」と涙ぐみながら話してくれるお母さんがいました。
わが子に障がいがあるという告知をどう受け止めていいか分からなかったこと、メンバーの中には、障がいをネガティブにとらえる医師からスムーズな告知を受けられなかった人が少なからずいること。こうした多くのことを受け止めてきたからこそ、今の笑顔があるのだと、話を聞きながら感じました。
「子どもに障がいがあることを、親が前向きにとらえて育てていくには医療関係者の意識の在り方も、とても大切。今後は写真展をまとめた写真集のほか、ダウン症の子を持つ親が知りたい、さまざまな情報を盛り込んだ冊子を作り、医療関係者やお母さんたちに届けたいと考えています」
見ているこちらまで幸せな気分になってくる写真展は、今後も会場を移し、開催されていきます。