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「男性介護者のつどい TOMO」が発足しました

昨年12月、介護をしている男性同士がお茶を飲みながら語り合える集いが、中京区の喫茶店で催されました。その会「男性介護者のつどい TOMO」の主催者で、自らも介護経験者である男性に話を聞きました。



「男性には“介護の苦労を人に話してはいけない”と思っている人が多いですが、当事者同士で話すと楽になれる。共感の早さ・深さが違いますから」と山内さん

「17年ほど前、妻が脳内出血で倒れ、車いす生活を余儀なくされました。同じころ、同居していた母親が認知症であることもわかって…」 突然始まった妻と母の介護を、山内輝昭さん(65歳)はこう振り返ります。

「自営業で時間の融通が利くとはいえ、仕事との両立がつらかった。家に主婦が2人いた生活から一転、試行錯誤の連続でしたね」

育児や家事を経験している女性に比べ、男性の介護はすべてが不慣れなところからのスタート。「周りには同じ境遇の男性はいませんでした。自分の苦しみをわかってくれる人がほしかった」と言います。

9年前に母をみとり、昨年には妻が施設入所したという山内さん。10年以上にわたる介護の後「男性介護者のつどい TOMO」を立ち上げたきっかけは、立命館大学産業社会学部教授の津止正敏さんらが2009年3月から始めた「男性介護者と支援者の全国ネットワーク(男性介護ネット)」に参加したことだそう。

「会では識者を招いて講演が行われています。約1年たったころ、“講義を聞くほかに、自分たちでも、苦労話を語り合えるような場をつくりたい”と考えたんです」

“いつかは京都じゅうに広げたい”

12月に行われた、1回目の会のようす。参加者の中には、介護施設で働く人もいたとか。スタッフや参加者の同伴者に、女性の姿も見られます

1回目の集まりには、2日間で40人以上が来場。当日は「親を自宅で見ているが、延命措置をすべきかどうか悩んでいる」といった、かなり踏み込んだ話題も出たそうです。

「一人では抱えきれないほど重い悩みを抱えてくる人もいます。こうした話が出たとき、参加者の意見はそれぞれ。自分とはまったく異なる考え方を知ると、知恵がもらえますね」と山内さん。このほか、介護保険制度への疑問やサービスの使いづらさについて意見も出たそうです。

「世間話として終わらせるのではなく、意見をまとめて、国への提言として発信してきたい」。さらに、今後の目標として考えていることがあります。

「京都のあちこちにこうした場を増やしたい。メンバーが自分の地元でも会を立ち上げ、助け合いの輪が広がっていったらいいなと思います」

TOMOの今後の予定は表の通り。2月には、京都テルサで男性介護者を対象とした料理教室もあり。問い合わせは山内さんまで。

TEL:075(882)2256

男性介護者のつどい TOMO
【日 時】 1月12日(水)・13日(木)、2月9日(水)・10日(木)、3月9日(水)・10日(木)
午前11時30分~午後2時 ※毎月第2水・木曜に開催
【場 所】 喫茶「ほっとはあと」(中京区西ノ京東中合町48)
※御池通西大路西入ル北側、地下鉄「西大路御池」駅3番出口横)
【参加費】 実費(飲食代)
【参加条件】 男性介護者とその家族・支援者。事前申し込み不要。当日来場を
男性介護者の活動を応援しています
立命館大学教授 津止正敏さんより

全国各地でも、こうした活動が生まれ始めています。介護の大変さに押しつぶされず、また介護保険という制度を黙って受け入れるだけではなく、介護する人・される人の視点から変えていくために声をあげていく、「介護者による運動」の新しい担い手としての男性たちに期待しています。
要介護者500万人、男性介護者100万人の時代。一人ひとりの声はか細くても、100万人、500万人の声となり運動となれば、世の中を動かす力になると思います。

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