親の生活習慣や、体内に蓄積された化学物質は、子どもの健康にどんな影響を及ぼしているの? こうしたことを探るため、来年から国が調査を行います。その内容はどんなものなのでしょう? 京都で調査の取りまとめを行う関係者に聞きました。
“昔に比べて、アトピー性皮膚炎の子が増えた気がする”など、昨今の子どもの健康について、変化を感じたことはありませんか?
「アレルギー疾患のある子や発達障害のある子の数は、近年増え続けています」と、京都大学医学研究科婦人科学産科学教授の小西郁生さん。
「低出生体重児と呼ばれる2500g未満で生まれてくる赤ちゃんも増えていて、今は10人に1人といわれているんですよ。こうした子どもたちは、生活習慣病にかかるリスクが高いこともわかっています」と京都大学医学研究科教授の呉東進(ごう・とうしん)さん。でも、こうした変化がなぜ起こっているのか、十分にはわかっていないそうです。
そこで、環境省が中心となり、来年から実施されるのが「エコチル調査」。全国15カ所・10万組の赤ちゃんとその母親の協力を募り、健康状態を13年かけて追跡調査します(詳細は左表参照)。こうした大規模な調査は、世界的にも珍しいそう。
調査に協力する15カ所の中には、京都も含まれています。小西さんらが所属する京都大学医学研究科と、同志社大学の心理学研究科、赤ちゃん学研究センターによる「京都ユニットセンター」が取りまとめをします。
「長期間にわたる研究は費用もかかり、研究の途中で後任を育てる必要もあるので、日本ではあまり行われていません。しかし、短期間で成果を出す従来型の研究だけでは限界がある。今回の調査を併せて行うことで、胎児や子どもたちの健康について探っていければ」と小西さん。この新しい試みで発見があり、子どもたちがより健やかに育っていけるようになるといいですね。
化学物質 (排気ガス、食品添加物) |
アレルギー物質 (ダニなど) |
生活習慣 (食事、運動など) |
遺伝子的な特性 |
全国から10万人のお母さん、お父さんの協力を募り、赤ちゃんがおなかにいるときから生まれて13歳になるまで、成長や健康状態を調べます ※母子のみの協力も可
京都市北区・左京区、木津川市、滋賀県長浜市在住で、2011年8月以降に出産予定の妊婦とその赤ちゃん5000組
協力者を募集中です
京都ユニットセンターでは、左京区・北区・木津川市、滋賀県長浜市在住の人から、調査の協力者を募集。2011年8月以降に出生予定の妊婦とその赤ちゃん計5000組が対象となります。 「協力してくれた人たちのデータが、未来の子どもたちの健康につながる貴重な資料となります。ぜひ力を貸してください」と、京都大学大学院医学博士で産婦人科医師の江川美保さん。 募集は1月下旬から開始。詳しくは問い合わせを。