木屋町二条南に建つ町屋建築、通りからはめ込みのステンドグラスが見え、一見すると博物館には見えないモダンな建築の「島津製作所創業記念資料館」に行ってきました。
1875年の創業から45年間、初代島津源蔵さんが本店兼住居とされていた建築は、国の「登録有形文化財」、経済産業省の「近代化産業遺産」にも認定され、島津製作所創業100年の年に記念として開館したそうで、いつも素敵な建物だなと気になっていたのでした。
ガイドさんの解説でたどる島津製作所の歴史
3日前までに電話予約を入れると、館の方の解説を聞きながら約1時間見学ができ、私はグループで事前予約を入れての入館でした。
入ってすぐのエントランスで目に入ったのは、1918年に開発された治療用・診断用レントゲン装置 「ダイアナ号」。実際の配置を再現して展示されていたのですが、家具調の外観はまるで工芸品のよう。
現代のレントゲン撮影装置から考えるととても大げさな装置に見えるのですが、当時では診療する室内に運べるほどコンパクトだと重宝されたとか。その後も安全性や機能性の開発が100年以上も続き、今私たちの医療にも生かされていると思うと感動的ですね。
膨大な科学技術機器を保持する国内でも有数の資料館
1階の展示室1で、初代島津源蔵さんと息子である2代目源蔵さんの生い立ちや歴史を、展示と映像の説明でたどりました。もともと仏具の鋳物製造業から始まり、教育用理化学機器、医療機器、分析・計量機器、航空・産業機器と事業を拡げられたそうですが「科学技術で社会に貢献する」という強い思いが多くの器機の開発につながったことに、技術者の並々ならぬ情熱を感じました。
保有されている資料は非常に多く、国内でも有数の資料館だとか。創業期から大正初期までの貴重な理化学器械の展示もありましたが、器械類は本当に美しいのです。これらの理化学器械は、もともと貴族がサロンで披露し合って発展したので「様式美が求められた」と知り、とても納得したのでした。
展示室2では、第一次世界大戦・震災・恐慌と時代が流れ、理化学器械・医療用X線装置・標本と広がっていった3つの事業にかかわる製品の展示もありました。精密な人体標本を作るうちに、その技術がマネキン製造にまで生かされたなど、高い技術力がどんどん他のことに派生してゆくのはとても面白いエピソードでした。
展示室3で、島津製作所の研究・開発の歴史が代表的な製品と共に年表のように展示されていたのですが、その事業の広がりは多岐にわたり、「科学技術で社会に貢献する」という理念が実現した証で溢れているかのように思えました。
その他展示室3では、科学の不思議を実際に触れて見て楽しめる実験コーナーもありました。大人ばかりのグルーブで見学したのですが、目の錯覚を利用したものなど不思議な実験道具に夢中になり、あれこれ覗いたり触ったりしたのでした。堅苦しい実験ではなく、まるでマジックのように体験できるコーナーなので、科学の面白さを知るきっかけになるかもしれませんね。
京都に広がった科学技術
様々な開発から、蓄電池の技術はバッテリーの会社へ、実験サンプルの技術はマネキンの会社へ、というように、島津製作所で芽吹いた科学技術は、その後京都の様々な企業で成長しているのだそう。
「科学技術で社会に貢献する」という理念が、今日の京都で発展している様々な企業の根底にも流れているのだなと実感し、感動を覚えた見学会となりました。
島津製作所創業記念資料館
京都市中京区西生洲町478-1
TEL:075(255)0980
島津製作所 創業記念資料館 | 島津製作所 (shimadzu.co.jp)
開館日時はHPから確認を
プロフィール
大好チヨ子
在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。
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