京都のモダン建築、4つの教会

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大好チヨ子プロフィール
2023年1月17日 

2022年11月に開催された第一回目の「京都モダン建築祭」に、三日間サポートスタッフとして参加させていただき、京都には歴史ある神社仏閣だけでなく、魅力的な近代建築も多く存在することを再認識したのでした。

会場の案内や鑑賞のサポートをするのに徹してしまい、会期中に建築を回れなかったので、公開されていた「教会」を、後日巡ってみました。

風格のある煉瓦造りの建築、聖アグネス教会

烏丸通、京都御苑の西に位置する聖アグネス教会は、アメリカの建築家ジェームズ・ガーディナーさんの設計で、明治31年に竣工したレンガ造りゴシック様式と呼ばれる建物。
平安女学院大学京都キャンパスの敷地内にある聖堂なので、周囲のレンガ造りの校舎と共に、御所西界隈の落ち着きある風景の要素になっている気がします。
聖アグネス教会は、年に数日一般公開される機会があり、以前教会内を拝見したことがあるのですが、ステンドグラスから漏れる光も穏やかで、温かみを感じる心地よい空間でした。

京都市指定有形文化財に登録されています

私は今まで着目したことがなかったのですが、レンガの積み方にいろいろ様式があるそうです。よく見ると二段ごとに一定の規則が見受けられ、レンガの長い辺の面を列にした次の段には、短い辺の面が積まれています。レンガの建築はそのような点に着目すると、違いがあることが解り面白いです。

住宅街にそびえ立つ京都ハリストス正教会

以前、散策中迷い込んだ住宅街で偶然見つけ、その凛と立つ姿の堂々とした様に見惚れてしまったのが京都ハリストス正教会でした。

夷川通から柳馬場通を南へすぐ

正教会の西日本布教活動の拠点として、明治36年に完成した教会堂は、ロシア・ビザンチン様式で最古の大型木造聖堂とか。京都府庁を手掛けた松室重光さんの設計とお聞きすると、雰囲気の重なる部分もある気がします。2022年には国の重要文化財に指定された貴重な建築なのだそうですが、この潔さを感じるすっきりとした外観に惚れ惚れしますね。

11月末に立ち寄った時には、ちょうどお隣の公園のイチョウの黄葉とのコントラストが、海外の風景を思わせました。

富小路公園からの風景

身近にみられるヴォーリズ建築、京都御幸町教会

京都御幸町教会は大正2年に竣工され、住宅街の中にとても馴染んでいます。英語教師として来日し、その後キリスト教の伝道者、建築家として京都にも多くの建築物を残しているウィリアム・メレル・ヴォーリズさん設計。四条河原町にある東華菜館が代表的ですが、ぐっと趣の異なる建築ですね。
十字架が掲げられていないのが意外でしたが、十字架をモチーフにしたデザインが随所に施されているそうです。

向かって右手にザクロの木が植わっていました

言われてみれば…。中央のドアも、大きなアーチ形の窓も、デザインとなる木の部分が十字架とみられる形ですね。

京都市指定有形文化財

門扉のこんな細かな部分にも、十字架モチーフらしきものが…。

大きな屋根が印象的なカトリック河原町教会

姉小路通りを河原町通りから東方向に眺めると、塔のような建物の屋根がのびやかに輝いているのが見え、以前から気になっていました。現在建物の正面付近が工事中ですが、こちらにあるのがカトリック河原町教会
老朽化のため1967年にフロイラー神父の設計で建築されたのが現在の建物だそうで、遠目に見ても印象的なこの屋根の曲線は、日本古来の神社様式を取りいれているのだそう。いわれてみればなるほどそんな雰囲気がありますね。

河原町姉小路の交差点から北東方向にみえます

ちょうど教会巡りをしていた日にミサが行われていたので、席の後ろから拝見させていただいたのですが、座席から真正面に見える壁一面のステンドグラスは、高さもありとても立派なものでした。

教会にとってステンドグラスは、文字を読めない人々にもキリスト様の教えを分かりやすく示す役割などがあるそうですが、光を透過する様子に違いがあるなど個々の教会で特徴があり、いずれも素晴らしいものだと思いました。

現在河原町通りから全貌が見えませんが姉小路通りから入口に入れます

今回巡った4つの教会は、特徴的でそれぞれの建物が魅力的。信者でなくとも、ミサを体験したり見学ができる教会もありました。
建築として外から拝見するだけでも、見ごたえのある芸術品ですね。

プロフィール

大好チヨ子

在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。