【コレ読んで!】創作の極意と掟

2020年8月28日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

創作の極意と掟
筒井康隆 講談社文庫(737円)

小説家が語る、文章表現で重要な31項目の創作作法

「作家読み」なる言葉があるらしく、いわく、特定の作家の全ての作品を一挙に読破したいという衝動。

僕にも唯一体験があり、それは筒井康隆さん。自分の無意識下にある語感や文体、話の展開への期待を全く裏切らない。これが面白いということだと片っ端から読んだ。

本書は、文章表現に必須の手法と技術を筒井さんが語る願ってもない本。
「色気」「省略」「反復」「遅延」など小説の重要なエッセンス31項目を、実例を引用して解説する。「小説は何をどのように書いてもよい文章芸術」としつつも、どの項目も読む人の心地を熟慮する筆者の技巧とその小説観が知れる。

筒井作品にのめり込んだ誘因を見つけて、また好きになった。

■本の紹介者
月と六ペンス
柴垣希好さん

(2020年8月29日号より)