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コレ読んで!

オタク経済圏創世記
GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件

中山淳雄 日経BP社・1870円

さらに盛り上がる日本のオタク文化に注目

小学生の時「キン肉マン」がブームで、「ジャンプ」を楽しみに読んでいた。漫画はアニメになり映画になり〝キン消し〟も一世を風靡(び)した。人気漫画がビジネスになった瞬間だが、当時の展開はここまで。僕も今はコミックを買うのみだ。
現代のヒット漫画はゲーム、グッズ、イベント、配信と作品を立体的、継続的に展開し、こちらの興味を一過性にしない。人気に応える消費財の多様化はファンのオタク化を促し一大市場を築く。
本書はこのようなコンテンツの2.5次元化で急成長する漫画、アニメ、ゲーム、そしてプロレスの戦略を解説。オタクが負の称号だったのは昔の話。日本文化産業として今や海外をも席巻する。

【紹介者】
月と六ペンス 柴垣希好さん

線は、僕を描く

砥上裕將 講談社・1650円

水墨画家の著者が紡ぐ「線」の芸術の物語

本書は両親を失った主人公がひょんなことから水墨画の大家のもとに弟子入りをし、失いかけた自分自身を水墨画によって取り戻していく感動の物語。お話はフィクションなのですが、水墨画家でもある著者自身の絵に対する一つ一つの言葉はとてもリアリティーがあり、水墨画とは対象を写し取るのではなく、絵師の内面そのものを表現する奥深いものだと気付かされるのです。
私たちが普段接する機会の少ない水墨画。本書の中でこの芸術は後継者不足で技術の継承も難しいと訴えています。本書に触れ一人でも多くの人に水墨画の魅力を知っていただき、日本古来の伝統の技が後世に受け継がれていくことを願ってやみません。

【紹介者】
ことばのはおと 中村仁さん

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