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コレ読んで!

やめるときも、すこやかなるときも

窪美澄 集英社文庫・836円

欠けた心を抱えた2人の出会いがもたらした未来は

この本を手に取った時やめるときも、すこやかなるときも妻とし夫とし愛し続けることを誓いますか?と問われているような感覚を覚えました。結婚式の二次会で出会った壱晴と桜子。お互い欠けた心を埋めるように物語は進みます。高校生の頃に恋人を亡くし毎年その日に声が出なくなる壱晴は、初対面の女性と関係をもつことで心の穴を埋めようとします。桜子は結婚したい思いを、暴力を振るう父や自分の収入に頼る母、早々と結婚した妹への嫉妬心でかき消されそうになります。でも出会いがお互いの価値観、環境、2人のこれからにわずかな光を差します。同タイトルでドラマ化。リアルな恋愛観で物語を彩っています。

【紹介者】
大垣書店 小林素紀さん

銀座界隈ドキドキの日々

和田誠 文春文庫・704円

1960年代、銀座を舞台に和田誠さんがつづる回想記

昨年他界したイラストレーター和田誠さんの駆け出し時代の回想記。1959年、銀座のライト・パブリシティに入社したての頃、会社の仕事と掛け持ちで名画座のポスターを印刷所に依頼され描き始める。ギャラはなし、大好きな映画に自分の仕事を使ってもらう喜びだけが報酬。社風は自由でイラストレーターやデザイナーはクライアントを説得し作品を作るようにして刺激的な仕事をした。町はオフィスの延長で他社のライバルと喫茶店や酒場で夜な夜な作品論を交わす。仕事が仕事らしく町が町らしかった頃のドキドキするような記録。穏やかだけど、芯の通った和田さんの姿勢には業種を超え気付かされることも多いはず。

【紹介者】
誠光社 堀部篤史さん

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