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インタビュー

武道家 佐竹雅昭さん

1965年、大阪府生まれ。中学時代に大山カラテに影響を受け空手の道へ。
「全日本空手道大会」優勝6回。1993年「K-1」の創設にかかわり、「K-1グランプリ」優勝2回。
ISKA世界ヘビー級王者、UKF世界ヘビー級王者ほか。2003年「総合打撃道『佐竹道場』」を開く。

生きていくのに大切なこと 今こそ、きちんと伝えたい

空手家、格闘家として数々のタイトルを手にし、総合格闘技「K-1」という新たなステージを牽引した、佐竹雅昭さん(54歳)。「リングでの修行は修了した」と、2003年に京都で「総合打撃道『佐竹道場』」を開き、指導者として活動していましたが、近年、大学やロータリーなど各種団体などからの講演要請が相次いでいるといいます。佐竹さんが武道家として、いま伝えたいことは何なのか―。京都の道場を訪ねました。



「昨日も仲間と夜遅くなって(笑)」

道場に響き渡るような、豪快な笑い声とともに、さわやかに話し始めた佐竹さん。

「話し出すと、終わらなくなってしまうんですよね。だんだん人生相談みたいになっていって」

“強きをくじき、弱きを助ける”“自分の道は自分で築け”。空手家・大山倍達の著書「大山カラテもし戦わば」に影響を受け、空手を始めたそう。

「若いころ、どんななにタイトルをとっても、空手家としてだけでは、食べていけなかったんですよね。それで、『K-1』というものを仲間と創り上げたんです。それが多くの人に支持され、食べていけるようになると、今度はみんな欲が出てきて、金銭問題なんかが起こってくるんですよね。物質文化の追求が始まる。そんな時、あらためて思いました。生きていくうえで人は心が大事だと」

佐竹さんは、父親の病気の看病もあって、現役を引退。原点に返って、精神文化を大切にした“武士道”を広めようと、京都に「総合打撃道『佐竹道場』」を開きました。

「祖父が京都で店を開いていて、子供のころ、よく遊びにきていたんです。何より、京都には神社仏閣が多い。精神文化を追求していくには、ぴったりの土地だと思って。

武道を通して、物質文化の追求に負けない、“心”を鍛えることを習得してもらいたい。謙虚で、人を思いやり、ルールの中で自分流に楽しむことを」

その思いを、もっと多くの人たちに伝えたいと始めたのが、祇園でのロビー活動。お酒を飲みながら、いろいろな会社の社長と話をしているうちに、どんどん話が広がって、いつの間にか講演依頼が増えていったそう。

「運を動かすと書いて運動。まずやってみて」

佐竹さんに、50代からの人生を楽しむための心構えを聞くと―。

「格好つけないで自分でいろんな所へ行って、いろいろな経験をする。年をとると、なんでも、人にしてもらって当たり前という気持ちになってくるけれど、そうではないんですよね。

自分で動くことで、世間が開ける。書店に行く、人に会いに行く、それだけでも運動になるし、随分違う。運動は、運を動かすって書くんですよ。運も動くし、知識も増えるし、友人もできる。これからの人生、楽しみいっぱいですよ」

また、「わくわく感を持つことも大切。僕は最近、古い映画を見直しています。当時、よくわからなかったことが、この年になって『ああ、こういうことが言いたかったのか』と改めて発見したり」。

しかし、「何でも無理をしないこと。僕なんか、本気のジムには行っていません。無理すると体がつぶれてしまうからね(笑)」。

(文・山舗恵子 

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