SHADOW/影武者
9月6日(金)からTOHOシネマズ二条、T・ジョイ京都で公開
水墨画のような映像美と、スリリングな歴史劇を楽しむ
中国の名匠チャン・イーモウ監督の最新作は、白と黒のグラデーションが美しい水墨画のタッチで見る者を惹きつける。ぜひとも映画館のスクリーンで味わってほしい、見どころたっぷりの大作である。
戦国時代、沛(ペイ)国は、強大な炎国に土地の一部を奪われたが、休戦同盟を結び、若き王は現状に甘んじていた。これを不服とする重臣の都督(トトク)は、自分にうり二つの男を影武者として育て、ひそかに炎国との開戦を企てるが…。
スター俳優ダン・チャオが、体重を増減させて都督と影武者の2人を熱演。都督の奥方役を、実生活でも夫婦のスン・リーが演じている。
それぞれの思惑が交錯する先の読めない展開、特殊な傘を武器として用いた戦闘場面、あっと驚かせる結末など、監督の演出がさえわたる。映画が終わった後、生き残った者はどんな道を選択したかと想像すると、戦国の世に生きた人々の悲しみに打たれる。古楽器の琴や笛を使った音楽も含め、実に中国的な雰囲気にこだわった作品。
(ライター 宮田彩未 )