三婆(さんばば)
大阪松竹座で6月27日(木)まで上演中
シリアスな問題を喜劇で魅せる怖くてかわいい三人の婆たち
金融業者社長の武市浩蔵が借財を残したまま、お妾(めかけ)の駒代(キムラ緑子)の家で急死したことから始まる物語。浩蔵の死後、本妻・松子(大竹しのぶ)のところに、駒代と、浩蔵の妹・タキ(渡辺えり)、さらには、浩蔵の秘書だった重助(佐藤B作)が、娘の家を追い出されて転がり込んで来る。
こうして〝三婆一爺”のおかしな共同生活がスタートする。腹に一物持つ4人に、お手伝いのお花(三倉茉奈)の思惑が加わって、それはもうゴタゴタ続き。こうして20年が過ぎて…。
昭和48年初演の、有吉佐和子原作の作品だが、現在の高齢化問題を予感させる鋭い視点を持ちながら、それを軽妙な喜劇仕立てにした演出は見事である。
ラストには、シリアスな凄(すご)みと、ホッコリとしたやすらぎを感じさせてくれる。これは、大竹、渡辺、キムラという、今回のキャスティングの妙にあるのかもしれない。3人の名前が並ぶだけでも、コワい、カワイイ、そしてアッパレである。
(文筆業 あさかよしこ )