タレント 久本雅美さん
いまは60歳を楽しみたい。私の夢は〝生涯現役〟です
自らを〝お笑い芸人〟といいつつ、人気バラエティー番組の司会、舞台女優などさまざまなジャンルで活躍する、芸歴38年の久本雅美さん。ハジける独特の芸風で、幅広い年齢層のファンを持ちます。好きなタレントの女性部門で3年連続1位になったことも。デビュー当時から「いつでもどんな場所でも、なくてはならない存在でありたい」という姿勢を守ってきた久本さんが、還暦を迎えました。
「自分が60歳になってみると、それまで思っていた〝還暦イコールお年寄り〟というイメージとは全然違ってましたね。いまは〝60歳〟ということを一つの面白アイテムとして、楽しんじゃおうと思っています」
現在は、テレビ番組のレギュラー4本をはじめ、多くの番組へのゲスト出演、そして舞台出演など、多忙を極める毎日です。
「いただいたお仕事に、100パーセントでぶつかっていく。チャレンジ精神を大事にしていますね。でも最近は、健康を第一に考えるようになりました。若いころは、私が寝ている間に、何か面白いことが起こったら嫌だなぁと、みんなと一緒に朝まで遊んだりしていましたけど(笑)。いまは睡眠に気を付け、体を冷やさないように努力しています」
子どものころから、人を笑わせることが大好きで、素人の漫才コンクールでは優勝経験も。上京して佐藤B作さんが主宰の「劇団東京ヴォードヴィルショー」に直談判で入団したのは、1981年。その3年後には、独自の笑いを求めて、柴田理恵さんらと共に「WAHAHA本舗」を設立。これが今の活躍につながっていきます。
テレビや舞台に出演し、人気者となっていく中で、彼女の得意とした持ちネタの、いわゆる〝シモネタ〟には批判の声も…。
「ありましたね。でも母は『娘の芸は、誰にでも受け入れてもらえるものではないかもしれません。でも、10人のうち2人でも笑って元気になってくれたなら、その人たちを大事にしてもらいたい。娘がほんとに楽しくやっていれば、私は応援します』って、言ってくれたんです。ありがたかったですね。だから、(2001年度)女性タレント好感度1位にしていただいた時は、最高の親孝行ができたと思いました」
たくさんの人と関わって生きていきたい
久本さんは、新年1月、リニューアルした南座で劇団創立70周年として上演される「初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演」の舞台に立ちます。
「5年前に松竹新喜劇さんからお声を掛けてもらって、毎年、勉強のつもりで出演させていただいています。今年は『お祭り提灯』というお芝居に〝金貸し婆さん〟の役で出演します(笑)。お金が絡んだ出来事で、みんなが右往左往するお話ですが、最後は、スコーンと気持ちよくなってもらえると思います。泣いて笑って、お楽しみいただきたい」
化粧品のCMに出演したり、骨のあるツッコミが絶妙な司会など、年を重ねるごとに活躍の場が広がっている久本さん。
「私の夢は、生涯現役でありたい、ということなんです。たくさんの方と対話しながら社会と向き合い、自分の存在を大事にして、生きていきたい。人と会って、人と関わっていくことが、若さを保つ、健康の秘訣(ひけつ)だと思っています」
(文・あさかよしこ )