きみの鳥はうたえる
9月22日(土)から京都シネマで公開
美しい函館の街で生きる 男2人×女1人の夏物語
函館の小さな映画館の経営者が、忘れられた作家となっていた佐藤泰志に着目し、小説「海炭市叙景」の映画化にこぎつけたのが、2010年。このたび、4作目の佐藤作品がスクリーンに登場する。新進監督・三宅唱と、若手の注目俳優たちのコラボは、繊細で心に残る若者像を私たちに突きつけてくる。
書店の従業員である「僕」は、失業中の静雄と同居していたが、ある日、同じ書店で働く佐知子と一線を越えてしまう。それからというもの、佐知子は毎日のように「僕」と静雄の間で時間を過ごすようになる。お酒と他愛もない会話、クラブ通い。刹那(せつな)的に楽しさだけを追いかけている3人の心の距離が、少しずつ変化していることから目を背けている「僕」だったが…。
青春と大人の世界の境目で揺れ動く彼ら。ふと、「ああ、自分にもそういう頃があったなあ」と、胸の奥が甘ずっぱくなる。ラストの「僕」の表情が忘れられず、監督の映像センスにも目を引かれる。柄本佑、石橋静河、染谷将太ほか出演。
(ライター 宮田彩未 )