悲しみに、こんにちは
9月1日(土)から京都シネマで公開
親に先立たれた少女の夏を みずみずしい映像でつづる
1993年、スペインのバルセロナに住んでいた6歳の少女フリダは、母を病気で亡くした。ひとりぼっちになった彼女を引き取ったのは、カタルーニャで暮らす叔父夫婦。年下のいとこ・アナもいて、温かく迎えてくれたが、新しい環境にすぐになじむのは、小さな女の子には至難の業。
駄々をこねたり、アナに対してちょっぴり意地悪になったり…。やさしい叔母さんもストレスをためてしまうほど。母親への恋しさをつのらせ、その死が理解できないフリダの頭の中は混乱し、アナへのジェラシーと孤独の影におおわれる。
監督カルラ・シモンの子ども時代の思い出をもとに作られたこの映画は、国際的な映画祭で一躍注目を浴び、数々の受賞を果たした。少女の目線で語られる物語は、派手なドラマ性をあえて退け、小さなエピソードの積み重ねによって見る者の心を引きつける。ラストのフリダの涙の意味をしみじみとかみしめてほしい。大人びたまなざしが印象的なフリダ役のライア・アルティガスがとてもチャーミングだ!
(ライター 宮田彩未 )