幸四郎改め二代目松本白鸚 染五郎改め十代目松本幸四郎襲名披露
七月大歌舞伎
7月27日(金)まで大阪松竹座にて公演中
重厚さと余裕で魅せる白鴎 新鮮な色気が加わった幸四郎
松本幸四郎が二代目松本白鸚を、市川染五郎が十代目松本幸四郎を襲名。七月の松竹座は、この親子同時襲名に、坂田藤十郎、片岡仁左衛門、市川猿之助、市川中車(香川照之)などが圧巻の演技で華を添える、豪華な大歌舞伎となった。
昼の部は「廓三番叟」「車引」「河内山」「勧進帳」、夜の部は「御浜御殿綱豊卿」「口上」「女殺油地獄」と、見どころの多い演目がずらりと並ぶぜいたくさ。中でも「河内山」で、悪をもって悪を征する河内山宗俊を演じる白鸚の、圧倒的な重厚さと、時折そこはかとなく漂わせるコミカルな余裕の技に魅了される。
また、歌舞伎初心者にもわかりやすく楽しめるのが、屈指の人気演目「勧進帳」。源平の合戦後、兄・頼朝から逃れるため、山伏姿に身をやつして平泉に向かう義経(片岡孝太郎)、武蔵坊弁慶(幸四郎)、四天王一行と、安宅関の関守・富樫左衛門(仁左衛門)との命がけの対峙(たいじ)。忠義心、意気に感じ合う男同士の美学など、日本人の好きな美意識を堪能することができる。
(文筆業 あさかよしこ )