銃・病原菌・鉄(上巻)
ジャレド・ダイアモンド、(訳)倉骨彰 草思社文庫・972円
富と権力が偏る理由とは?人類史の謎に迫る1冊
世界の富と権力は、なぜ現在あるような形で分配されたのか―。世界地図を広げてみると、富と権力は欧州や東アジア、北米に偏っている。いずれもユーラシア大陸系の民族を祖先とする地域でこの不均衡は16世紀の欧州諸国の植民地政策に起因するという。興味深い。が、ではヨーロッパ人だけが他地域に進出できた理由は何か。どうやらユーラシア大陸には必然的な優位性があるようだ。
本書は1万3千年の人類史をさかのぼり、人類社会に生じた不均衡の謎を解き明かす。銃、病原菌、鉄はそのキーワード。生物地理学や文化人類学など、関連学問を駆使した考察に陶然とする。これはまだ上巻。人類史の大河に浸る壮大な一冊。
【紹介者】
月と六ペンス 柴垣希好さん
月と六ペンス 柴垣希好さん
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