君の名前で僕を呼んで
4月27日(金)からTOHOシネマズ二条、T・ジョイ京都で公開
しっとりと美しい映像でつづる ひと夏の恋の叙情詩
少年エリオは、夏になると両親と共に北イタリアの避暑地で過ごすのだが、その夏は特別なものになった。大学教授の父の手伝いで、アメリカ人大学院生オリヴァーがやって来て、忘れられない思い出を育んだから。
性的なことへの関心がふくらむ17歳のエリオは、オリヴァーへのあこがれと反発を抱く。その心は揺れ動き、年上の彼を見つめる目は何とも切ない。2人のことを知りつつも、けしてとがめない両親の態度は、日本人的感覚では驚くだろうが、終盤で父親がエリオに語るシーンにはじんとくる。そして最後、エリオを長回しでとらえた映像には、言葉にならぬ声を感じて鳥肌が立った。
ディカプリオ以来の才能といわれるティモシー・シャラメに、アーミー・ハマーという美形スターたちの確かな演技、名匠ジェームズ・アイヴォリーによる脚色、ささやくように歌うスフィアン・スティーヴンスの挿入歌など、注目どころの多い秀作。監督はルカ・グァダニーノ。12歳未満は成人保護者の同伴が適当なPG-12指定。
(ライター 宮田彩未 )