嘘八百
TOHOシネマズ二条、MOVIX京都で公開中
千利休の幻の茶器をめぐる丁々発止の大騒動コメディー
初笑いにぴったりの映画がこれ。役者のそうそうたる顔ぶれ、スパイスの効いた起伏のある展開、思わず噴き出してしまうユーモラスなせりふ回しなど、よく練られた脚本に、見た後「ああ、面白かった!」という声がもれるだろう、年明けおすすめの喜劇だ。
舞台は大阪の堺。大物狙いでヒットのない古物商の則夫(中井貴一)が、古めかしい蔵のある屋敷を訪れたことから物語が始まる。そこのあるじらしい男・佐輔(佐々木蔵之介)から明らかに偽物の器を買い取る則夫だったが、それは頭にもうけ話がひらめいたから…。
だまし、だまされ、すったもんだの大騒動、でも、ほろりとするような人情話も添えられ、そりが合わないように見えた則夫と佐輔の距離がどんどん近づいていく。どんでん返しのクライマックスでは、アメリカ映画の名作「スティング」を思い出すほどで、さらに意外な結末がすがすがしい後味をも残す。監督は「百円の恋」の武正晴。友近、寺田農、坂田利夫、木下ほうかなど、クセのある演技陣も楽しい。
(ライター 宮田彩未 )