エルネスト
TOHOシネマズ二条で公開中、10月7日(土)から京都シネマで公開
ゲバラの夢を共有して散った、ひとりの日系人の思いに迫る
チェ・ゲバラは、キューバ革命の英雄として歴史に名を刻み、今もなお人々を魅了している。だが、彼の意志に賛同し、戦い、25歳の若さで世を去ったフレディ前村ウルタードという日系人の名前を知る人は非常に少ないだろう。阪本順治監督がこの若者に焦点を当て、丁寧に描いた本作は、弱者のために戦う道を選んだ人の高貴さで見る者の心を動かしてゆく。
映画では、まず1959年のゲバラ来日時の様子が語られる。彼は広島を訪れ、原爆の悲劇に憤りを示すのだが、このシーンは以降のゲバラの言動に関わる重要な布石である。そして、舞台はキューバへと移り、医者になることをめざすフレディの日々が中心となる。ゲバラとの出会い、キューバ危機による決断、秘められた恋…。
オダギリジョーがスペイン語を操りながら、実直で熱い心を持つフレディを好演。ゲバラ役はホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ。題名の「エルネスト」とは、ゲバラのファーストネームであり、彼がフレディに与えた名前でもある。
(ライター 宮田彩未 )