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試写室・劇場から

パターソン

9月23日(祝・土)から京都シネマで公開

Photo by MARY CYBULSKI©2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved

何の変哲もない日々が、きらめく瞬間を目撃する

パターソンというのは、アメリカ・ニュージャージー州の町の名で、バスの運転手を務める主人公の名前でもある。この映画は1週間をつづったものだが、とんでもないドラマが彼のもとにやって来るわけではない。朝起きて、愛する妻とキスを交わし、仕事に出かけ、帰宅して妻と夕食を共にし、愛犬を連れて近くのバーで一杯。判で押したような毎日のように見えて、少しずつ違う。

それのどこが面白いのかと思われるだろうが、引き寄せられるように、感動的といってもいい境地に誘われてゆく。なぜなのか? パターソンは仕事のかたわら詩を書く。風景や人々の会話、お気に入りのマッチ箱にも詩人としての目を向け、そこから人生の宝物を掘り出しているのだ。

出演は、アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニほか。日本から永瀬正敏が最後に登場する。カンヌ映画祭で「パルム・ドッグ賞」に輝いた愛犬のユーモラスな“演技”にも注目して!
ジム・ジャームッシュ監督のまなざしの深さに心を打たれる秀作だ。

(ライター 宮田彩未 

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