家をせおって歩いた
村上慧 夕書房・2160円
発砲スチロール製の〝家〟を背に、日本各地を旅した美術家の日々
震災をきっかけに、労働や生活、経済の概念をあらためて考え直した若きアーティストのとった行動は、「家をせおって旅に出る」ことでした。
旅先の民家を描き、自作の家とともに展示するという目標を掲げ、発泡スチロールハウスをせおい全国を移動。そうして見えた家の中からの景色を日記形式でつづる一冊。生活の基本、定住することから見直し、異邦人の立場で常識を疑う視線は新鮮で、私たちが当たり前に思うことを考え直すきっかけを与えてくれるでしょう。旅する若者が減る昨今、読む者を日常の外側、つまり旅へといざなう、行動力と繊細さを兼ね備えた力強い言葉でつづられた新たな青春文学の誕生です。
【紹介者】
誠光社 堀部篤史さん
誠光社 堀部篤史さん
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