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試写室・劇場から

ラビング 愛という名前のふたり

京都シネマで公開中

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結婚しただけで違法だなんて! それでも強く結ばれた愛の実話

この映画の舞台、1950年代のアメリカ・バージニア州には「異人種間結婚禁止令」なるものが存在した。黒人女性のミルドレッドと、白人男性リチャードは、ミルドレッドの妊娠がわかって結婚を決意するのだが、それからが大変! 新婚生活を始めて間もなく、夜中にいきなり逮捕されてしまう。そして、離婚に応じないふたりに州外退去の判決が下される。ところが、ミルドレッドがケネディ司法長官に手紙を書いたことから、新たな局面が訪れる。

晩年のミルドレッドは「私たちは法律を変えるためでなく、愛のために闘った」と語ったというが、その道のりはけわしく、つらいものであったろう。ジョエル・エドガートンと、ルース・ネッガが、この夫婦の間に流れていた思いやりの心を鮮やかに表現した。何が起こっても、ヒステリックになったりしない。静かで、お互いを深く見つめている。そういう夫婦愛にとてもひかれる。ちなみに、ラビングとは夫の姓なのだが、偶然にしても意味深い。ジェフ・ニコルズ監督。

(ライター 宮田彩未 

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